シリコーン消泡剤の特徴・種類
シリコーン消泡剤の特徴・種類
シリコーン系消泡剤は高い消泡効果を持ち、泡の効果的な除去に役立ちます。また、いくつかの種類に分けられており、用途や目的に応じた使い分けが可能です。本トピックでは、シリコーン系消泡剤の特徴と種類をまとめました。
シリコーン消泡剤の仕組み
液表面に発生する泡沫を抑え破壊するためには、泡膜で規則的に並ぶ界面活性剤分子の配列を、同時かつ多発的に崩す必要があります。シリコーンは他の物質に比べ表面エネルギーが低く、凝集力が弱い特徴があることから、界面活性分子の配列を破壊するためには最適な物質です。
なお、シリコーン系消泡剤が消泡を行う仕組みには諸説あります。一般的にはコンパウンド型のシリコーン系消泡剤の場合、シリカがシリコーンによって泡の表面へ運ばれることで、泡を破り消泡作用を発揮すると言われています。
破泡作用の補足
オイル型のシリコーン系消泡剤は水に溶けにくいという性質を持ちます。そのため、水性の発泡液に混ぜたとしても分散しにくく、消泡作用が上手く働きません。
そこで、O/W型エマルジョンへの乳化やシリコーン系乳化剤とのブレンド等で水への拡散性を高める場合があります。このように、添加物を使って対象の発泡液に合わせた特性を得られる点も、シリコーン系消泡剤の特徴です。
シリコーン消泡剤の特徴
シリコーン消泡剤には、高い消泡効果や汎用性があり、かつ安全に使えるという特徴があります。以下は、シリコーン系消泡剤の主な特徴です。
消泡性 〜微量でも強力な効果で経済性も高い〜
消泡のメカニズムにおいて、表面張力が低いことは大きな消泡作用になり得ます。そのため、有機系消泡剤に比べて表面張力が低いシリコーン系消泡剤には、高い消泡効果が期待できます。
消泡効果が高ければ、その分だけ必要となる量も少なくなります。実際に、シリコーン系消泡剤はごく微量(1~200ppm)でも十分な効果が得られ、経済的です。また、添加量が少なくなるため、製品品質への悪影響も抑えられます。
なお、他の消泡剤に比べて抑泡性と持続性も優れているため、泡の発生予防にも効果的です。
多様性 〜汎用性が高く、かつさまざまな種類がある〜
シリコーン系消泡剤は、耐熱性・耐薬品性にも優れています。また、強酸・強アルカリを除き、他の物質で分解されにくい点も特徴です。そのため、有機系消泡剤の使用が難しいシチュエーションでも、問題なく使用できる可能性が高くなります。なお、化学的にも不活性であるため、他物質と反応したり、効果を下げたりするといったこともありません。
また、シリコーン系消泡剤にはオイル型・エマルジョン型・溶液型・コンパウンド型・自己乳化型・粉末型といった種類に分けられます。発泡液や製造過程における目的に応じて選択するなど、さまざまな用途で利用可能です。
安全性 〜食品に使える消泡剤のスタンダード〜
多くのシリコーン系消泡剤は安定性が高く、生理的にも不活性という特徴を持ちます。種類や用量によっては、食品にも使用可能です。実際、食品衛生法で定められている「食品添加物などの規格基準」においては、食品添加物消泡剤として適合するのは食品用シリコーン消泡剤だけです。
シリコーン消泡剤の種類例
シリコーン系消泡剤は、対象となる発泡液や用途に応じて種類を使い分けることにより、適切な消泡作用が得られます。以下は、主なシリコーン系消泡剤の種類です。
オイル型
各種シリコーン系消泡剤の基油となるのはジメチルシリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン)です。無色透明・非水系で、消泡に適した特性を持ちます。一般的に、粘度が低いものは初期即効性(破泡作用)に優れ、粘度の高いものは持続性(抑泡作用)に優れております。
コンパウンド
シリコーンオイルの消泡作用を高めるために、無機フィラー(シリカ)などの分散剤を加えたものがコンパウンド型です。粘性が高く、非水系や乳化後の水系での使用に適しております。また、シリコーン系エマルジョン消泡剤の原料としても使用されます。
自己乳化型コンパウンド
シリコーンコンパウンドに乳化剤を加えた粘性の高い液体で、水系での使用に適しています。なお水に混ぜると自己乳化作用によってエマルジョン型になります。
エマルジョン型
シリコーンコンパウンドを乳化剤で乳化したW/O型のエマルジョンです。水系での使用に適しております。
粉体型
粉体製品へブレンドし、使用する目的に適したシリコーン系消泡剤です。
まとめ
シリコーン系消泡剤の優れた特徴や、種類についてまとめました。
本トピックの通り、消泡剤の特徴・種類・用途は多種多様であることから、当社では、お客様が持つ泡の問題を解決するための
「シリコーン消泡剤セルフ診断」をご用意しました。
簡単な質問にお答えいただくだけで、適切なシリコーン系消泡剤をご提案できます。ぜひご活用ください。