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排水処理に使用する凝結剤・凝集剤について

2023.12.13

排水処理設備において、SSと呼ばれる濁質を除去する方法として、一般的に凝集および固液分離処理が用いられます。本記事では、凝結剤・凝集剤の基本的な原理、種類と特徴について紹介します。

凝集の原理

凝集処理は、排水中の濁質の中でも特に比重差で分離しにくいコロイド状物質の粗大化や、溶解性物質の析出(不溶化)などに用いられ、後続として沈殿や加圧浮上、ろ過などの固液分離処理との組み合わせで設計されます。

排水中の濁質は一般にマイナスの表面電荷をもっており、お互いの電荷が反発することで水中に分散しています。凝集操作ではこの微粒子のマイナス荷電を中和して凝集しやすくし基礎フロックを形成する「荷電中和(または凝結)」の工程と、そのようにして生成した基礎フロックを互いに架橋してさらに粗大化させる「凝集」の工程の2段階で構成されることが多いです。荷電中和(凝結)工程では無機凝結剤や有機凝結剤などが、凝集工程では高分子凝集剤が用いられ、様々な種類の薬品が存在します。

上記の凝集反応を進めるため、実際の処理フローとしては下記のように凝集槽を2~3槽に分けて、荷電中和(凝結)工程と凝集工程を順番に行います。

無機凝結剤の種類と特徴

無機凝結剤として、一般にアルミニウムや鉄などの3価の金属塩が用いられます。これは、凝結剤のイオン価と凝結性に密接な関係があり、イオン価が高いほど少ない薬品の量で荷電中和ができるためです。アルミニウム塩および鉄塩系の無機凝結剤について、種類と特徴を下記の表にまとめました。これらの無機凝結剤はどれも一般的に用いられるものですが、特徴を理解して使い分けることが重要です。

有機凝結剤の特徴

上記で示したアルミニウム塩や鉄塩から製造される無機凝結剤のほかに、有機凝結剤というものがあります。有機凝結剤も無機凝結剤と同様に、排水の荷電中和で用いられますが、無機凝結剤と比較して下記の特徴があります。

  • 高い凝結能力:有機凝結剤は一般に無機凝結剤と比べて電荷密度(重量当たりの荷電中和の能力)が高く、少ない添加量で凝結効果を発揮することができます。すなわち汚泥発生量の低減につながります。

  • 中和剤の削減:有機凝結剤自身ではpHを低下させないものが多く、無機凝結剤のようにアルカリを添加する必要がなくなるケースがあります。

  • 腐食性の低減:塩鉄に含まれる塩化物イオンなどは腐食性の原因ですが、有機凝結剤はこのような腐食性イオンが少なく、腐食性を低減できます。

  • 汚泥燃焼時の効率が良い:汚泥中の無機分の削減により、汚泥燃焼の際の熱効率が良くなります。

  • コストが高い:一般に無機凝結剤はどれも安価ですが、有機凝結剤はそれらと比較して高い傾向があります。

上記の特徴を踏まえ、適切な凝結剤を選定することが重要です。

高分子凝集剤

凝集処理において、無機凝結剤や有機凝結剤の荷電中和により凝集しやすくなった粒子を架橋し、粗大フロックを形成するために高分子凝集剤を用います。高分子凝集剤は分子量100万以上の高分子物質であり、その電荷によりカチオン性、アニオン性、ノニオン性があります。排水処理の凝集沈殿、加圧浮上においてはアニオン性、ノニオン性を用いるケースが多く、カチオン性はよく脱水処理の凝集剤として用いられます。

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凝集処理は排水処理プロセスにおいて重要な役割を担い、適切な設計と薬剤選定が重要です。凝集処理の疑問点を解消し、持続可能な工場運営を目指す一助となれば幸いです。

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