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排水処理における遠方監視  ~維持管理省力化と運用効率の向上に向けて~

2025.05.31

工場排水処理設備の管理において、「安定運転」と「迅速な不具合対応」は欠かせない要素です。近年は、水質データをリアルタイムで把握・記録し、遠隔地から設備の状態をモニタリングできる「遠方監視」の導入が進んでいます。

本記事では、排水処理における遠方監視の概要や導入メリット、代表的なシステム構成をわかりやすく紹介します。日常の業務負荷を軽減し、設備トラブルを未然に防ぐヒントとしてご活用ください。

1. 遠方監視とは? ~排水処理における役割と目的~

「遠方監視」とは、現場に行かずとも排水処理設備の運転状態や水質データを遠隔地からリアルタイムで確認・記録・分析できる仕組みのことを指します。

排水処理では、pH、DO、COD、SSなどの水質データや流量、水位、ポンプ稼働状況などの設備データ、異常アラームやトレンドグラフによる履歴監視などがあります。

2.監視制御システムの構成と技術的な仕組み

排水処理の遠方監視システムは、水質センサーや工業計器を通じて排水処理設備の運転状況のデータを取得し、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)で集約、処理を行います。その後、ネットワーク経由でPCやクラウドサーバーなどに外部出力し、可視化・記録・通知などを行うことで、運転の最適化や予防保全に大きく貢献します。

さらに高度なシステムでは、PLC内部で演算処理を行い、総量規制対応の換算値や積算流量などの「演算値」を自動で出力・記録することも可能です。これにより、定期的な手計算や報告書作成の手間も大きく削減できます。

3.遠方監視の主な利点と導入効果

遠方監視の導入によって得られるメリットは多岐にわたります。以下に主な利点を整理します。

導入初期には通信環境整備やシステム設計が必要ですが、長期的にはコスト削減・業務効率化の効果が高く、多くの工場で導入が進んでいます。

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4.導入のステップと選定時のポイント

遠方監視を導入する際には、以下のステップと確認ポイントを押さえることが重要です。

  1. 現場ニーズの整理;監視項目(pH、流量、運転状況など)の明確化

  2. 通信・電源インフラの確認;通信手段(有線/無線)、電源確保の可否など、設置環境に応じた方式の選定

  3. 拡張性の検討;将来の追加項目や他設備と連携に備え、拡張性のあるPLCやソフトウェアの選定。

5.まとめ

従来の排水処理管理は、「異常が起きてから対応する」受動的な運用が主流でした。しかし、遠方監視システムを導入することで、データを基にした「予測型の運用」や「改善提案」が可能になり、業務の質とスピードを大きく向上させることができます。

現場の負担を減らし、安定した運転と確かな水質管理を実現する手段として、今こそ遠方監視の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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