KNOWLEDGE

排水処理における産廃削減方法について  ~好気処理設備を有する工場向けのアプローチ4選~

2025.05.30

1.はじめに

工場排水の処理過程では、発生する汚泥の処理・処分が大きな課題の一つとなります。特に、好気性の生物処理を採用している施設では、処理後に多くの余剰汚泥が発生し、これが産業廃棄物としてコストや環境負荷の要因となります。

本記事では、汚泥発生量を抑制し、産廃量の削減につながる4つの代表的な対策について紹介します。

2.好気処理における産廃削減方策

本記事で紹介する4つの産廃削減方策の概要を、比較表として以下に整理します。

①乾燥機の導入による含水率の低減

排水処理によって発生する汚泥は、通常含水率が80%以上と高く、そのままでは多くの運搬・処分コストがかかります。

汚泥乾燥機を導入することで、含水率を大幅に低減でき、産廃としての重量を大幅に削減可能です。さらに、乾燥後の汚泥はセメント原料や燃料などとして再資源化できる可能性もあり、廃棄からリサイクルへの転換も見込めます。初期投資や運転コストは必要ですが、長期的にはコスト削減と環境負荷低減の両立が期待できます。

乾燥機の導入事例はこちら(Coming soon)

含水率低減によってどれほど汚泥が削減できるのか、一例を示します。

(例)含水率80%の汚泥1tonを乾燥させ、含水率50%にする場合;

1tonの汚泥のうち、固形分は200kg、水分は800kgです。

乾燥後でも固形分の重量は変わらず200kgですが、含水率が50%になると水分も200kgまで低減されます。

すなわち、汚泥の合計重量は400kgとなります。

含水率を80%→50%に低減すると、汚泥重量を1tonから400kgまで、60%も削減できることがわかります。

②運転条件・プロセスの変更(食物連鎖の活用等)

排水処理プロセスを工夫することで、汚泥の発生量自体を削減するアプローチも有効です。

例えば、微細なバクテリアだけでなく、原生動物や後生動物など上位捕食者(いわゆる「食物連鎖」)の導入を促すことで、微生物の自己分解が進み、結果として汚泥の蓄積が抑制されます。

曝気槽の系内で食物連鎖を成り立たせるためには、曝気槽の切り分けによる菌叢制御が重要となりますので、専門家に相談の上で計画を策定することが求められます。

食物連鎖による汚泥減容の事例はこちら(Coming soon)

また、曝気時間や溶存酸素濃度の最適化など、運転条件の見直しも微生物群の活性や分解効率に影響し、汚泥量削減につながります。

③運転条件・プロセスの変更(食物連鎖の活用等)

特定の微生物や酵素を含む特殊な製剤を用いることで、汚泥の発生量や性状を改善する方法もあります。

前処理として投入して原水中の有機物を分解し好気処理の負荷を低減するタイプや、曝気槽に投入して微生物の自己消化を促して汚泥を減容するタイプなどがありますので、自社の排水設備や運転状況にあった適切な製剤を選定することがポイントです。

製剤の選定と使用量の調整を最適化する必要がありますが、設備の改造なども不要なことが多く、比較的手軽に導入できる対策の一つです。

微生物製剤・酵素製剤による汚泥減容の事例はこちら(Coming soon)

④嫌気処理の導入による汚泥発生量の抑制

好気処理と比較して、嫌気処理は微生物が成長・増殖する速度が遅く、結果として余剰汚泥の発生が少ないという特徴があります。

BODやCOD濃度が高い原水に対して、UASB(上向流嫌気性汚泥床)やメタン発酵槽などの嫌気処理プロセスを導入することで、汚泥の発生量そのものを抑えることが可能です。

さらに、メタンガスなどのバイオガスを回収してエネルギー利用することもでき、環境負荷低減と省エネの両立も図れます。

ただし、嫌気処理は好気処理に比べて原水の適用範囲が狭く、負荷変動にも弱いため、事前の導入検討が重要です。

嫌気処理の導入による汚泥減容の事例はこちら(Coming soon)

3.おわりに

排水処理における産業廃棄物の削減は、運転コストの削減だけでなく、環境負荷の低減にもつながる重要な取り組みです。

AGASEが提供する排水ソリューションでは、排水処理の専門家による排水コンサルティングを通して、現場の状況に応じた最適な散気装置の選定や改善提案を行っております。

ぜひお気軽にご相談ください。

工場で発生している排水処理の問題や課題を解決し、持続可能な工場運営を目指す一助となれば幸いです。

本件に関するお問い合わせ

下のフォームにお問い合わせ内容をご入力いただき、
個人情報の取り扱いに同意のうえ「送信」ボタンを押してください。