ELV規則案
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End-of-Life Vehicles Regulation
概要
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2000年に導入後、2023年に改定案が発表され、今も審議が続く、使用済み自動車のリサイクルと廃棄物管理を規制するEUの法令。
解説
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使用済み自動車(ELV)のリサイクルと廃棄物管理を目的としたEUの法令である。この規則は、自動車の製造から廃棄までの全ライフサイクルにわたり、環境負荷を最小限に抑えることを目指している。具体的には、有害物質の使用制限、リサイクル可能な材料の使用促進、廃車の適切な処理方法の確立などが含まれる。
この規則は、自動車メーカーに対し、製品設計の段階からリサイクルを考慮することを義務付け、また、廃車のリサイクル率を高めるために、再利用可能な部品の取り外しや、リサイクル材の使用割合の目標設定が求められている。これにより、資源の有効活用と廃棄物の削減が図られる。
現在は、欧州委員会、欧州議会での議論を経て、2025年6月17日に欧州理事会で採択された状態。今後、欧州委員会・欧州議会・欧州理事会によるトリローグ(三者協議)を経て最終案化され、2026年初頭の施行が見込まれている。
主な内容としては、まず新車に対して再生プラスチックの使用を段階的に義務付ける点が挙げられる。
< 再生プラスチックの使用要件>
- ■新車に使用する再生プラスチックの割合は6年後15%、8年後20%、10年後25%
- ■再生プラの廃車由来の比率は当初案の20%(議会案は15%)
- ■再生材の定義が再度縮小され、ポストコンシューマ材(使用済み製品由来)のみとなり、プレコンシューマ材(生産端材)は対象外
- ■エラストマーや熱硬化性樹脂は議会案同様対象外
- ■ケミカルリサイクル材に関しては言及がない為、おそらくポストコンシューマ材として活用可能と推定
また、対象車両の範囲が拡大され、乗用車・商用車に加え、トラック、バイク、特殊車両(消防車、救急車など)も含まれることとなった。これにより、部品の取り外しやラベリングの義務が新たに課せられることとなる。