ELV指令

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End-of Life Vehicles Directive

概要

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2000年に施行された、ELV(End-of-Life を迎えた Vehicles)が環境に与える負荷を低減するためのEUの法令。
ELVの収集と汚染除去に関する規定を定め、新⾞に使⽤される有害物質を制限し、⾞両あたりの平均重量に基づいて、「再使⽤率+リサイクル率 (85%)」 および「再使用率+リサイクル率+エネルギーリカバリー率 (95%) 」の⽬標を設定している。

解説

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ELVを解体する際に取り除く部品の指定、目標リサイクル率の設定、回収処理システムの確立、環境負荷物質の使用禁止、使用済み車両の無償引き取りなどを定め、実行することで、ELVによる環境負荷を低減するための指令。

ELV指令の施行以来、廃車回収や車両に含まれる有害物質の低減が進み、廃車からの原材料のリサイクル率は85%まで高まった。一方で、廃車から出る金属廃棄物は、十分に分別されておらず、またプラスチックや電子部品、複合材料のリサイクル率は、非常に低いとの指摘もある。
また、適切な廃車回収が行われておらず、走行に適さない環境汚染源となる廃車が、EU域外へ多く違法輸出されていることも問題視されている。
そうした現状を受け、ELV指令は大幅な改正作業が進行中である。現行の「ELV指令」と「自動車型式認証における再使用、再利用、再生の可能性(3R)に関する指令」を1つにまとめ、規則化しようとするもので、今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される。本規則案では、設計段階から再利用可能性、リサイクル可能性、回収可能性、及びリサイクルされた内容物の使用義務などの循環性要件を満たすことが要求されており、生産者に拡大生産者責任(EPR)を課して、ELVの収集と処理まで責任を持たせている。
これらの動向は、自動車業界だけでなく、リサイクル業界や環境保護にも大きな影響を与えるものと考えられており、今後の動向に注目が集まっている。

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