公開日:2023/5/8

最終更新日:2023/8/3

実践・工場省エネ
コンプレッサ運転システムの構築

前回のコラムでは、コンプレッサがいかに電力消費が大きい設備であるか、という点について纏めさせて頂きましたが、今回はコンプレッサの省エネ改善ポイントとして重要になる「コンプレッサの運転システム構築」について纏めてみました。

コンプレッサの制御方式の種類

コンプレッサの運転システムの構築に当たり、先ずコンプレッサの種類ごとの「アンロード特性」(機構)違いを認識することが重要となります。
アンロード特性(機構)とは、圧縮機の吸込空気量と、末端での消費空気量を調整装置にてコントロールし、圧力を一定範囲内に保つ性能のことを言います。コンプレッサの消費電力低減を考えるうえで、全負荷時消費電力性能以上に重要になるのは、中間負荷時、消費空気量に従って、コンプレッサが容量制御されたときの消費電力性能です。
制御方式は①オンオフ式(圧力開閉)、②吸込み絞り式、③ロード/アンロード式、④スライド弁式、⑤回転数制御式(インバータ)の5種類があります。詳しくは以下の比較表をご覧ください。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱


それぞれの制御方式の動力曲線は以下図の通りとなり、100%負荷の際の効率は全て同じとなりますが、使用空気量により消費電力比に差が生じます。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱

コンプレッサの消費電力の確認方法

次に現状のコンプレッサの消費電力を確認してみましょう。コンプレッサのカタログ・取扱説明書・仕様書に記載されてる「モータ出力」は、消費電力ではありません。消費電力量(kWh)は、全負荷時入力(kW) x 消費電力比(%) x 運転時間(hr) で計算されます。
・消費電力量(kWh) = 全負荷時入力(kW) x 消費電力比(%) x 運転時間(hr)

全負荷時入力の計算は、軸動力(kW) ÷ モータ効率(%)となります。
全負荷時入力(kW) = 軸動力(kW) ÷ モータ効率(%)

モータ効率に関して、モータは100の出力に対し、実働エネルギーは発熱やベアリングなどによる「メカニカルロス」が発生します。2015年4月より「トップランナーモータ制度」が施行され、以下表の判断基準となる「エネルギー消費効率」を満たしていないモータの出荷は出来なくなりました。


※経済産業省「総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会三相誘導電動機判断基準小委員会の最終取りまとめ報告書(平成25年6月)」,
 参考_2023.5.1. https://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/top_runner/pdf/report_00_01.pdf

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱


仮に軸動力(出力)が 75kW のモータの場合、上の表からモータ効率は 95%(50Hz) となります。

次に消費電力比は、油冷式スクリュアンロードタイプ(吸込み絞り式)の場合、平均使用空気量が 70% の際、70+(30 x 負荷率0.7) で計算され、消費電力比は 91% となります。

仮に6,000時間/年の稼働であった場合、以下が年間の消費電力量となります。
①(軸動力75kWh ÷ モータ効率0.95) x 消費電力比0.91 x 6,000Hr ≒ 431,053kWh/年
電気料金が 17円/kWh であった場合、年間で 7,327,901円 の負担となります。

一方で、同じ 75kW の出力の回転制御式(インバータ)の場合、モータ効率にインバータのロスを加味した(注1)総合効率は 90% となりますが、消費電力比が 70% となりますので、回転制御式(インバータ)コンプレッサの消費電力量は以下となります。
②(軸動力75kWh ÷ 総合効率0.90) x 消費電力比0.7 x 6,000Hr ≒ 350,000kWh/年

よって、①吸込み絞り式 と ②回転制御式(インバータ) を比較すると、②回転制御式(インバータ) の方が年間で 82,035kWh/(約19%) の省電力化となり、1,378,000円の電気料金削減、CO2も約36.7t削減することが出来ます。



注1)トップランナーモータ制度対象の誘導モータはインバータ制御時にモータ効率が悪化しますが、便宜的に95%のままで試算しました。永久磁石同期モータを採用したインバータ制御の場合は、インバータ制御時でも95%以上のモータ効率を確保できるため、総合効率は90%を超える高効率を確保可能です。

台数制御運転システムの構築による省エネ改善

1日の工場稼働状態を見ると、必ずと言って良いくらいに時間帯でのエアー消費量の変動があり、日(週)毎にもエアー消費量が違ってきます。
複数台数が単独運転をしている場合、運転機の中に効率の悪い「中間負荷運転」が必ず生じるので、単独運転と台数制御運転した場合での省エネ効果を検証します。ここでは①単独運転、②先発先停方式、③先発先停方式+インバータの3種類の比較となります。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱


①単独運転の場合、年間で消費電力は 2,164,200kWh で、電気料金は 36,791,400円 となりますが、②の先発先停方式では消費電力は 1,673,100kWh で 491,100kWh(22.7%) の削減、電気料金は 28,442,700円 で 8,348,700円の削減 、CO2は 222.5t の削減となります。
③の先発先停方式+インバータにおいては消費電力 1,583,100kWh で 581,100kWh(26.9%) の削減、電気料金は 26,912,700円 で 9,878,700円 の削減、CO2は 263.2t の削減となります。よって、コンプレッサの運転システムを適切に構築することは、工場の省エネ化を行うにあたり、非常に重要なポイントとなります。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱


コンプレッサの運転システムを適切に構築するためにも、まずは現状の稼働状況を把握することが重要です。
コベルコ・コンプレッサ様では、コンプレッサの稼働測定・診断を含む「省エネコンサルティング」を展開されており、これまでに累計9,000件以上の測定・診断の実績があります。

☑ コンプレッサの機種・圧縮方法を問わず測定が可能(コベルコ以外の機械でも対応可能)
☑ 機器単体の簡易的な測定・診断から、エアラインを含む総合的なエアシステムの本格診断まで可能
全ての機器を同時に実測(コンプレッサ・レシーバタンク・エアラインなどの電流・圧力等の必要データを同時に収集)

是非この機会に、コンプレッサの改善に着手されてはいかがでしょうか?もしご興味ありましたら、お気軽にお問い合わせください。

記事制作協力:コベルコ・コンプレッサ㈱

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