公開日:2024/6/26

最終更新日:2024/6/27

技術と知見を持ち寄った、環境配慮型「スマートベンチ」の開発

生活環境にAIやIoTがもたらす様々な情報が加わり、より生活しやすくなった社会:「Society 5.0」 を先行的に実現する、「スマートシティ化」の取り組みが、全国で進められています。
今回は、スマートシティに求められる一つの姿を体現すべく開発された、環境配慮型のスマートベンチを紹介します。

新しいコンセプトで開発されたスマートベンチとは?

現在、全国各地で進むスマートシティ化の取り組みでは、デジタル技術の活用による都市の課題解決と、公共スペースでの住民の利便性享受が求められています。
その一つとして、従来の公園や駅のロータリーにある様なベンチに太陽光パネルを搭載し、充電やインターネットへの接続などの機能を備える「スマートベンチ」の設置が注目されています。
設置時に大掛かりな電気工事を必要としないスマートベンチは、照明や電子機器等の使用や充電、また、災害時には非常電源としての機能を果たすことから、国内外で需要が高まっています。

市場ニーズへの対応と社会課題解決を目指し、フクビ化学工業株式会社と長瀬産業株式会社、株式会社キャプテックスは、リサイクル樹脂・リユース電池を使用した環境配慮型のスマートベンチを共同開発し、実証実験を2024年3月より開始しました。
利便性・安全性等の実証を経て、2025年度の実用化を目指しています。

本実証機は、ベンチの座面・背もたれ部分に、使用済みのプラスチック廃材をリサイクルした再生木材(後述する※1)を使用しており、また蓄電池には使用済みの自動車から回収したリチウムイオンバッテリー(以下、LiB)をリユースした(※2)環境配慮型のスマートベンチです。
公共の設備及び電源としての機能に加え、構成部材のリサイクル・リユースによるカーボンニュートラルへの貢献も期待されてています。

画像提供:(株)キャプテックス

環境に配慮した構成部材

※1 座面・背もたれ部には、フクビ化学工業の再生木材「プラスッド」を使用しています。
「プラスッド」は、使用済みのプラスチック廃材をリサイクルした原料と、持続可能な森林由来の国産間伐材を使用しており、屋外で長期間使用しても劣化や変色が少ない耐久性を実現しています。

※2 太陽光パネルで発電した電気を蓄えるLiBは、スズキ株式会社が生産する四輪車に搭載されている「エネチャージ/S-エネチャージシステム」のLiBを、使用後にスズキの協力のもと、長瀬産業とキャプテックスがスマートベンチ用にリユースしています。

環境に配慮したリユース電池の技術、および用途の開発に長年取り組んでいる長瀬産業とキャプテックスは、使用済みの自動車から取り外した電池のリユースを通じて、循環型バッテリー社会の実現を目指しています。
なお、本実証機の一次電池として活用する太陽光パネルも、リユース品を使用しています。リユース太陽光パネルをスマートベンチに活用することで、社会課題である廃棄物削減に貢献します。

(株)キャプテックス

共同開発各社のそれぞれの役割

3社は、環境とITを含む技術が融合した街を創造するというコンセプトを体現するという共通の目的を持ち、「環境(脱炭素、リサイクル) × IT × 安全 × 利便性」の4つの要素を全て併せ持つ商材として、このスマートベンチに開発至っています。
4つの要素は、以下の機能によってそれぞれ達成される設計となっています。

・ 太陽光を活用した再エネルギー設計による、脱炭素社会への貢献
・ リユース材料を活用した蓄電池の開発・採用による、サーキュラーエコノミーの推進
・ 屋外ディスプレイ(デジタルサイネージ)を使った情報発信
・ 停電時のスマホ充電機能提供による防災対策、電気の無い場所での灯りの提供による街の安全性向上

最適な素材や材料の選定、構造の設計は、建材メーカーとしての強みを持つフクビ化学工業が担い、スマートベンチに搭載されるリユース電池の開発、および太陽光発電や使用する電子機器を含めたシステム化は、化学業界を中心とした幅広いネットワークを有する長瀬産業と、蓄電関連の技術・開発・製造に強みを持つ、NAGASEグループのキャプテックスが担います。
各社固有の技術や経験を活かし、スマートベンチの社会実装に向けた試みが進められています。

社会課題達成に向けた今後の狙い

3社は、都市での利便性及び安全性向上による、スマートシティ及びカーボンニュートラルの実現に向けて、継続的な協力体制を構築するものとしています。
今回の取り組みは、1社が持つ技術や知見のみではなく、それらを持ち寄ることで、スマートシティに求められる課題解決を図ろうとする好事例の一つです。

各社は、今回の実証実験を経て、スマートベンチの量産化を目指すだけでなく、それぞれが持つ強みを組み合わせて融合することで、難しい社会課題をも解決できるというメッセージも伝えようとしています。

お問い合わせ

profile

兼子 毅

<所属>長瀬産業株式会社 未来共創室  
<専門分野>蓄電池の開発・製造、及びお客様側で準備される蓄電池の分析・評価を承ります

<紹介文>蓄電池の開発・製造、分析・評価を長瀬産業グループ企業である株式会社キャプテックスにて対応いたします。
お問い合わせはこちら:info@captex.co.jp