公開日:2024/6/17

最終更新日:2024/6/10

理解した上で活用したい。再生原料がバージン原料に適わない9つの理由

再生プラスチックの活用は、資源枯渇問題や気候問題を解決する重要な施策の一つです。
しかし、いわゆる元々の原料である「バージン原料」と比較して劣る部分が多い為、使用を躊躇う例も散見されています。
今回記事は、再生プラスチックがバージン原料に適わない理由について解説し、これをどう克服して行くべきかについてのヒントをお伝えします。

理解しておきたい9つの理由

再生プラスチックの使用は資源枯渇問題を解決させるだけでなく、多くの場合、気候変動問題も解決する効果的な対策となります。
しかし、再生プラスチックに対し、バージン原料と同じ要件、要求をしてしまうと活用が遅々として進まないという事例が多く発生しています。
持続的な社会の実現のためには、バージン原料に劣る部分を許容して使いこなすことが重要になってきます。

理解しておくべきバージン原料に劣るポイントとして、代表的なものを以下に列記します。

1)数量の限定性
2)色の問題
3)物性の劣化
4)加水分解の可能性
5)強化繊維ガラスなどが破壊される
6)異物混入
7)臭い
8)食品分野に使いにくい
9)医療分野に使えない

普段からプラスチックビジネスに携わっている方や、これから始められる方、ある程度事業企画が固まっている方であれば、これらはおおよそ想像のつく項目かと思いますが、その理由や背景までを理解されている方は、意外と少ないかもしれません。

理解しておきたい理由と背景

それでは、前段で列記した9つの項目を詳しく解説したいと思います。

1)数量の限定性
リサイクル原料は「欲しいときに必要なだけ発注する」ということができません。
また、「相場」というものはありますが、大抵の場合、他社との仕入れ競争(入札)があり、それに負けると「原材料がない!」という事態に陥る可能性があります。

2)色の問題
スクラップに印刷があると、再生原料の色は黒に着色するしかありません。
そのため用途が限定されてきます。脱墨といって色を抜く処理も不可能ではないのですが、コストが高くなってしまいます。

3)物性の劣化
樹脂は熱が加わる度に、少しずつ物性が落ちてしまいます。バージン原料に比べてリサイクル原料は、平均2回~3回は熱履歴が多くなってしまいます。
その為、どうしても樹脂の性能が劣ってしまいます。

4)加水分解の可能性
樹脂の種類によっては、再生原料を作る過程で原料の中の水分が起因し、加水分解という現象を起こして、劣化を進めることになります。

5)ガラス繊維が破壊される
ガラス繊維を入れて強化したプラスチックをリサイクルする場合、再生原料を作る工程でガラス繊維が粉砕されて短くなり、強化された物性が低下します。

6)異物混入
再生原料を作る工程で異物が入るリスクはどうしても取り除けません。

7)臭い
食品等の有機物が付着したものは、いくら洗ってもある程度は残ってしまいます。
リサイクル製品となった後も、その臭いは微妙に残ることになり、臭いに敏感な製品などには使用できません。

8)食品分野に使いにくい
基本的に食品に触れる部分には再生原料は使用できません。食品衛生法で規制されているからです。

9)医療分野に使えない
医療の分野でも、注射器、点滴用の管、輸液バッグなどには再生原料は使用できません。この分野で再生原料がバージン原料に置き換わるということはなさそうです。

課題を克服する手段

前段のそれぞれ課題に対する様々な工夫・対策がありますが、代表的な手段を挙げておきます。

☑ 色:色選別装置などの利用
☑ 物性劣化:バージンや物性の良い原料との配合技術、添加剤などによる強化
☑ 加水分解:事前乾燥
☑ 異物混入:光学選別機、遠心分離機、レーザーフィルターほか
☑ 臭い:洗浄工程の見直し、脱臭機能付き押出機
☑ 食品・衣料への利用:ケミカルリサイクル

上記の対策をして尚、経済的合理性が見いだせる場合にリサイクルビジネスが成立するともいえます。

使いこなすための工夫の重要性

上記のように、再生原料は用途に限りがありますが、製品の成型方法でカバーできる場合もあります。
シート成型での、多層シートの中心部に再生材料を使用する方法や、射出成型での、中心部だけ再生材料にするサンドイッチ成型などがそれです。
再生プラスチックの活用を実現するためには、原料メーカーの努力も大事ですが、ユーザー(製造側)での工夫も重要です。

弱点をしっかりと理解した上で克服し、使いこなす。これこそ持続可能な社会の構築に向けた第一歩となるのではないでしょうか?

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村井 健児

<所属>株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役  
<専門分野>プラスチックリサイクルビジネスコンサルティング

<紹介文>リサイクル工場経営の経験をもとにプラスチックスクラップ・再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う