公開日:2024/6/19

最終更新日:2024/6/14

何から始める!? 中小企業のカーボンニュートラル

『カーボンニュートラル(以下CNと省略)、脱炭素社会と言われても、何から始めたら良いか分からない』
そのような相談をいただくケースがありますが、多くの中小企業にとって、CNへの取り組みに対する優先順は低く、手つかずの状況かと思われます。このコラムでは、その要因がどこにあるのかを考察します。

中小企業にCNが浸透しない理由

代表的な課題として、「初期投資の負担」が挙げられます。国や各自治体が定める様々な助成金・補助金制度を利用しても、依然としてエネルギー効率の高い設備や再生可能エネルギーへの転換は大きな負担となります。
また、技術的知識や専門性の欠如といった問題もあります。外部の専門家に依頼する手段もありますが、短期的な利益を考慮すると、コストに見合ったリターンがないことも要因の一つです。

しかし、これらの核心的な理由だけでなく、そもそも従業員を含む企業全体の意識の低さにも問題があると考えられます。
例えば、年間の温室効果ガスの排出量が一定量(原油換算で合計1,500kl/年以上など)を超えている事業者は、関係省庁等へ排出量の報告を行う必要がありますが、対象となる中小企業は極めて少数というのが実態です。

組織に浸透させる重要なプロセス

温室効果ガス排出量の削減義務、または報告対象となる法規制等に該当しない中小企業は、定期的な教育の機会を設け、組織に浸透していく必要性があります。
以下に効果的なプロセスを記載します。

1. CNの背景について、全従業員が正しく学ぶ
2. CNに向かうための取組みを自分事として捉え、腹落ちするレベルで理解する
3. どのようなプロセスで温室効果ガスが算定されるかを考え、実際に手を動かし理解する
4. 温室効果ガス排出量算定の根拠となる自社ガイドラインを策定し、組織体制を確立する
5. 日常業務のなかでPDCAを回し、排出量の変化や、削減活動を意識して取り組む

教育=座学のイメージがありますが、演習を用いて、実際に手を動かしながら考えることが重要です。企業が排出している温室効果ガスの算定は、従業員一人ひとりが考え、「算定をしてもらう」のではなく、「自らが算定をする」のです。
燃料使用量の計測は現在様々な計算ツールがあるため、これらを用いることも可能ですが、教育的側面を考えると、まずは算定の対象や仕組みから理解することが大切です。

CNとは、管理技術である

CNへの取り組みの重要度が、中小企業と大企業とで異なることは前述の通りですが、CNを管理技術として捉えることで、企業価値の向上も期待できます。

中小企業におけるCN(カーボンニュートラル)の位置づけと価値創出
画像提供:一般社団法人中部産業連盟


管理技術は、自社製品を持たない中小企業にとって、生産性を高めるための極めて重要な要素であり、製造業においては、5S活動を基本とする様々な生産改善活動に関連づけられます。
事業所における排出量の算定により「見える化」が行われると、省エネ対策等に向けた取り組みの優先順位も把握できます。
そして、全体排出量から各工程ごとの排出量の算定やエネルギーフロー図の作成など、活動の深化が期待されます。

これらの取り組みは管理技術の向上に留まらず、企業が持つ固有技術にも影響を与えます。
具体的には、製品設計における低炭素素材の活用やリデザイン、長寿命化などが該当します。その結果、組織のマネジメント力は強化され、イノベーションの活性化が大いに期待できます。
また、CNを企業経営の一部として位置付ける大手企業にとって、サプライチェーンの透明性や信頼性は非常に重要です。中小企業におけるCNの取り組みは、企業価値を高め、新たなビジネスチャンスを生む基盤となります。

CNを継続できる組織体制の構築

中小企業がCN達成に向けて取り組むためには、経営者の強いリーダーシップだけでなく、全従業員の協力が不可欠です。そのためには、まずCNに関する教育の機会を設け、持続可能な組織体制を構築することをお勧めします。

画像提供:一般社団法人中部産業連盟


(一社)中部産業連盟では、以下のような体験型プログラムをご提供しています。

☑「2050カーボンニュートラル」カードゲームにおける体験型研修
☑ 温室効果ガスの排出量算定基準の理解及び算定報告書の作成演習
 (算定担当者・責任者の教育にも最適なプログラムです)
☑ 排出量算定ガイドラインの作成(自社ガイドライン)

ご興味のある企業様は、是非下記のHPよりお問い合わせください。
https://chusanren.tokyo/

お問い合わせ

profile

市川 真爾 マシュー

<所属>一般社団法人中部産業連盟 東京事業部 経営革新コンサルティング部
<専門分野>カーボンニュートラル・脱炭素経営、GHG バリデーター ・ベリファイヤー
      情報セキュリティ・個人情報保護
<紹介文>東京都及び埼玉県の排出量取引制度における区分1(特定ガス・基準量)検証主任者として検証業務に従事