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インドでのEV材料調達をどう実現するか?現地調達課題と最新ソリューションを解説 【高機能素材Weekレポート】

インドでEV(電動車)の生産を進める企業にとって、現地調達率の向上は重要な課題です。特にバッテリー材料やモーター部材においては、品質・供給安定性・コストのバランスをどう確保するかが問われています。 本記事では、2026年2月に開催された高機能素材Week(モビリティマテリアル展)でNAGASE Mobilityが提案した展示内容をもとに、インドにおけるEV材料の現地調達課題と、その解決につながる3つのソリューションをご紹介します。

イシュー

インドでのxEV材料の現地調達化に、いま提案が求められています

世界のメーカーがインドでの生産体制を強化するなか、Make in India政策のもとで現地調達化率をどう高めるかは、製造業にとって重要なテーマです。

特に自動車・二輪車における電動化の領域では、部品を現地で調達できるかどうかだけでなく、その材料や部材が安定して供給されるか、品質をどう担保するか、電動化に求められる性能にどう対応するかまで含めて検討する必要があります。

私たちは今回の展示で、そうした実務上の論点に対してインド発のモビリティ部材を提供するパートナー企業との具体的なテーマとしてご紹介しました。

なお、今回はパートナー企業であるブルースカイテクノロジー社との共同出展として、インド・マヒンドラ&マヒンドラ社製 のEV 「XEV9e」 をブルースカイテクノロジー株式会社が分解・展示し、同エリア内でNAGASE Mobilityはインド発xEV領域の部品を出展しました。

XEV9eの実物展示とインドでの現地調達率向上に多くのご関心をお寄せいただきました。

取り組み内容

インド発ソリューションとして展示した3つの重点テーマ

今回、NAGASE Mobilityでは高機能素材Week展においてモビリティの電動化向けに3つのソリューションを展示しました。

  • バッテリー向け マイカシート/ガスケット

  • バッテリー向け 黒鉛負極材料

  • モーター向け マグネットワイヤー

xEVバッテリーの熱暴走対策に有効なマイカシートとガスケット

インドで登録台数の増えるEVにおいて、バッテリー開発において「安全性」と「供給の安定性」は欠かせないテーマとなっています。熱暴走への懸念、航続距離延伸に伴う軽量化など、複雑な性能要求への対応が可能で、かつインド国内で一貫して生産が可能なことにより材料調達の安定性を実現するマイカシートとガスケットを展示しました。

実際に展示したマイカシート(画像左)とガスケット(画像右)。ガスケットはラバータイプとペーパータイプが存在する。

マイカシートはピーク耐熱1,500℃、3次元形状への成形を可能としています。トップカバー向け仕様では炎だけでなく噴出粒子の衝撃を遮断し、実環境下での延焼を遅延させることで乗員の退避時間を確保します。バスバーやターミナルカバー向けの仕様では、バスバー端子部の絶縁保護や、振動や熱による接触事故防止にも貢献することが可能です。

インドはマイカの世界シェアの約60%を占め、採掘から加工までを一貫して管理することで、地政学リスクを低減することによる安定供給をお届けしています。またRMI認証のクリーン・マイカであることも特徴の一つです。

ガスケットやIP67という粉塵や浸水を高いレベルでシャットダウンすることが保証された認証を取得し、高い使用温度範囲を誇ります。液状シーラントも同様にIP67認証を取得し、微小隙間への充填性や低リーク設計が示されています。

安定調達とLCA低減を両立する黒鉛負極材料

NAGASE Mobilityが出展した黒鉛負極材料は、マイカ同様に原料の確保から精製プロセスまで一貫してインド国内で実施することで安定供給を実施する製品です。

本パートナー企業は元来鉄製品の生産を行っており、その副産物を人造黒鉛の材料として使用しています。また、本企業を中核としたサ ーキュラーエコノミーを実現する仕組みを構築しています。この仕組みを活用することで、黒鉛系負極材を生産する上で必要となる原材料や水資源、エネルギーロスを省き、資源の効率的な運用が実現されています。

そのような背景から、人造黒鉛を生産する上で発生するGHG 量は従来の生産方法と比べて約70 % 削減できるという第三者機関による測定結果も出ています。

欧州車載レベルに対応する高性能平角マグネットワイヤー

モーター向け製品としてはマグネットワイヤーを出展しました。他の2製品と同様に原材料(銅・被覆材)をインドで調達しているマグネットワイヤーです。

今回出展したマグネットワイヤー。銅は平角線タイプにも対応。被膜精度やインドでの一貫生産について多くのお問い合わせを頂きました。

欧州で多くの実績を持つ本製品は高い品質要求レベルに対応するため欧州製の製造装置や品質管理用装置を導入。AIによる画像認識技術や微細なピンホールによる電流検知システムをインラインで組み込むことで、全数をリアルタイムに品質管理し、不具合の流出を徹底的に防止する生産の仕組みを整備しています。

インド国内に4つの大型拠点を有し広域生産体制で供給リスクを最小化、特に港に近い拠点はインド国外への迅速な出荷体制を担っています。

展示会を起点に、具体的な検討テーマへつなげます

今回の高機能素材Week(モビリティマテリアル展)では、インド発xEV領域の部品を中心にご紹介しました。インドでの現地調達化は、単に調達先を増やす話ではなく、材料・部材の選定、供給体制、品質管理、技術評価まで一体で考える必要があります。

バッテリー向けマイカシートやガスケット、黒鉛負極材、モーター向けマグネットワイヤーの各テーマについて、用途や設計条件、調達条件に応じて具体的にご案内いたします。インドでの調達先多様化や、xEV向け材料の選定でお悩みの方は、ぜひNAGASE Mobilityへお問い合わせください。個別テーマに即した形でご相談を承ります。