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リチウムイオン電池用の電解液添加剤とは?種類・選定ポイントと中国メーカーの材料を紹介

リチウムイオン電池の性能を高めるには、正極・負極だけでなく、電解液の設計も重要です。 なかでも電解液添加剤は、電極表面の保護膜形成や副反応の抑制など、電池特性を調整する役割を担います。 本記事では、代表的な電解液添加剤の種類や選定ポイントを解説するとともに、中国のRolechem社が手がける電解液材料についても紹介します。

リチウムイオン電池用の電解液添加剤とは

リチウムイオン電池用の電解液添加剤は、電解液に少量加え、電池の性能や安定性を調整する材料です。

電極表面に保護膜を形成したり、電解液の分解を抑えたりする役割があります。

添加剤の種類によって、サイクル寿命、急速充電性能、高温・低温特性、安全性などへの影響は異なります。

そのため、電極材料や主塩、溶媒との相性を確認しながら、目的に合った添加剤を選定します。

複数の添加剤を組み合わせて性能を調整する設計も一般的です。

リチウムイオン電池用電解液添加剤の種類

リチウムイオン電池には、さまざまな電解液添加剤が使用されています。

ここでは、代表的な材料であるLiFSI、LiDFOB、LiBOBを中心に、それぞれの基本的な特徴を紹介します。

材料名

分類

主な用途

主な特徴

LiFSI

イミド系リチウム塩

主塩/添加剤

高いイオン伝導性と熱安定性を持ち、LiPF6と併用される

LiDFOB

フッ素・ホウ素系リチウム塩

添加剤

正極・負極の双方で保護膜を形成し、界面を安定させる

LiBOB

ホウ素系リチウム塩

添加剤

電極表面で保護膜を形成し、副反応を抑える

LiFSI

LiFSIは、リチウムビスフルオロスルホニルイミドと呼ばれるリチウム塩です。

高いイオン伝導性や熱安定性を持ち、電解液の主塩の一部としてLiPF6と置き換えて使う方法や、添加剤として少量を加える方法で使われます。

電極界面の形成にも関わる材料で、次世代のリチウムイオン電池向け電解液材料として採用が進んでいます。

LiDFOB

LiDFOBは、リチウムジフルオロオキサラトボレートと呼ばれる、フッ素とホウ素を含むリチウム塩です。

電池内部で反応して電極表面に保護膜を形成し、電極と電解液の界面を安定させる目的で使用されます。

正極・負極の双方で界面形成に関わる材料として研究され、電解液添加剤として幅広く検討されています。

LiBOB

LiBOBは、リチウムビスオキサラトボレートと呼ばれるホウ素系のリチウム塩です。

電極表面で反応し、保護膜を形成する添加剤として使用されています。

電解液と電極の界面を安定させ、電池内部で発生する副反応を抑える目的で利用されます。

LiDFOBと同様に、電極表面の状態を調整する材料です。

その他の電解液添加剤

リチウムイオン電池では、LiFSI、LiDFOB、LiBOB以外にも多くの添加剤が使用されています。

代表例には、VC、FEC、LiBF4、LiDFPなどがあります。

添加剤ごとに化学構造や反応特性が異なり、電極表面の保護膜形成や電解液の安定化など、それぞれ異なる役割を担います。

実際の電池では、用途や設計に応じて複数の材料が使い分けられています。

リチウムイオン電池の性能課題と電解液添加剤の関係

リチウムイオン電池では、高エネルギー密度化や急速充電、長寿命化、安全性など複数の性能が重視されます。

電解液添加剤は、電極界面や電解液の反応を調整し、これらの性能を改善するために使われます。

高エネルギー密度化

高エネルギー密度化では、高電圧正極やシリコン系負極などの採用が進んでいます。

一方で、高電圧化による電解液の酸化分解や、シリコン系負極の膨張・収縮に伴う界面の劣化が課題です。

電解液添加剤は、正極や負極の表面に保護膜を形成し、電解液との副反応を抑えるために使用されます。

電極材料の特性に合わせて添加剤を選ぶことで、高エネルギー密度化に伴う電池内部の劣化を抑えられます。

急速充電性能

急速充電では、大きな電流が短時間で流れるため、リチウムイオンの移動や電極表面での反応が電池性能に影響します。

充電条件によっては、負極表面へのリチウム析出や発熱、界面抵抗の増加が起こりやすくなります。

電解液添加剤は、イオン伝導性や電極界面の状態を調整し、充電時の抵抗や副反応を抑えるために使われます。

特に高出力や短時間充電を重視する電池では、電解液全体の設計と合わせた添加剤の活用が重要です。

サイクル寿命

リチウムイオン電池は、充放電を繰り返すことで電極や電解液が徐々に劣化します。

電極表面の保護膜が不安定になると電解液との副反応が続き、活物質やリチウムイオンが消費され、容量低下が進みます。

電解液添加剤を使用すると、電極表面に安定した保護膜を形成し、副反応を抑えられます。

長期間の使用を想定する車載電池や蓄電池では、充放電を繰り返しても安定した界面を維持できる電解液設計が重要です。

高温・低温特性

リチウムイオン電池は、使用する温度によって電解液や電極界面の反応が変化します。

高温環境では電解液の分解や副反応が進みやすく、低温環境ではイオン伝導性が低下し、内部抵抗が増加しやすくなります。

電解液添加剤は、高温時の分解反応を抑えたり、低温時の界面抵抗を調整したりする目的で使用されます。

自動車や屋外用蓄電池など、幅広い温度環境で使う電池では、想定する使用温度に合わせた設計が重要です。

安全性

リチウムイオン電池では、過充電や高温、内部短絡などによって電池内部の温度が上昇すると、電解液の分解や発熱反応が進むリスクがあります。

そのため、電池性能だけでなく、異常時の反応を抑える設計も重要です。

電解液添加剤には、電解液の分解反応や電極との副反応を抑える目的で使われる材料があります。

高温時の安定性や電極界面の状態を調整することで、電池内部で起こる不要な反応を抑え、安全性を高める設計に活用されています。

電解液添加剤の選定で重要なポイント

電解液添加剤は、材料単体の特性だけでなく、電極材料や他の添加剤、電解液全体の組成を踏まえて選定します。

目的とする電池性能に応じて、各材料の組み合わせや添加量を調整することが重要です。

電極材料との適合性

電解液添加剤を選ぶ際は、正極や負極に使用する材料との適合性を確認します。

高電圧正極、黒鉛負極、シリコン系負極など、電極材料によって表面で起こる反応や適した保護膜の性質が異なるためです。

同じ添加剤でも、電極材料が変われば得られる効果や副反応も変わります。

そのため、添加剤単体の性能だけで判断せず、採用する正極・負極との組み合わせを評価し、目的とする電池特性に合った材料を選定します。

複数の添加剤の組み合わせ

電解液では、一種類の添加剤だけでサイクル寿命、急速充電、高温特性、安全性などすべての課題に対応するのは困難です。

そのため、異なる役割を持つ複数の添加剤を組み合わせて使用する方法が採用されています。

一方で、添加剤同士が互いの反応に影響し、期待した効果を得られない場合もあります。

各材料の役割を個別に評価するだけでなく、組み合わせた状態で電極界面や電池性能がどのように変化するかを確認することが重要です。

添加量と電解液組成の最適化

電解液添加剤は、添加量によって電池への影響が変わります。

添加量が少なすぎると十分な効果を得にくく、多すぎると抵抗の増加や不要な反応を招く場合があります。

また、添加剤は主塩や溶媒、他の添加剤とも相互に影響します。

そのため、特定の添加剤だけを調整するのではなく、電解液全体の組成として評価することが重要です。

電解液添加剤の開発・量産で重要なポイント

電解液添加剤を実際の製品へ採用するには、性能だけでなく、材料開発、品質の安定性、量産対応、コスト、安定供給まで含めた検討が必要です。

要求性能に合わせた材料開発

リチウムイオン電池に必要な性能は、EV、蓄電池、電子機器など用途によって異なります。

さらに、正極や負極の材料、セル構造、充放電条件によっても適した電解液添加剤は変わります。

そのため、既存材料の中から選ぶだけでなく、セルごとの要求性能に合わせて材料の組成や純度、配合条件を調整する開発も重要です。

評価結果をもとに材料メーカーと電池メーカーが検討を重ねることで、用途に適した材料仕様を定められます。

品質の安定性と量産対応

研究段階で良好な性能を示しても、量産時に材料品質がばらつけば、セル性能にも影響します。

電解液添加剤では、純度や水分、不純物などを一定範囲に管理し、ロットごとの差を抑えることが重要です。

また、採用後に必要量を継続して供給できる製造設備や品質管理体制も確認します。

試作品の供給だけでなく、量産規模でも同じ品質を維持できるかを評価することで、安定した電池生産を支えられます。

コストと安定供給

電解液添加剤は性能だけでなく、量産時のコストも重要です。

EVなど生産規模が大きい用途では、材料単価の違いがセル全体の製造コストに影響するため、性能と価格のバランスを確認します。

あわせて、原料調達や生産拠点、供給能力なども重要な評価項目です。

特定地域や単一の供給元への依存度が高い場合は、供給環境の変化による影響も考慮します。

長期採用を前提に、品質、価格、供給体制を総合的に確認します。

Shanghai Rolechem社のリチウムイオン電池向け電解液添加剤・電解質塩

NAGASE Mobilityでは、前述のような電池の性能課題に電解液材料の面から対応できる企業として、中国のRolechem社をご紹介しています。

同社は中国・上海に本社を置く電解液添加剤メーカーで、リチウムイオン電池向け材料に加え、ナトリウムイオン電池向け材料も展開しています。

約80名の研究開発要員を擁し、単なる材料サプライヤーではなく、顧客の要求に合わせた材料開発やスケールアップに対応できる開発型企業です。

LiFSIをはじめとする幅広い材料ラインアップ

Rolechem社は、LiFSI、LiDFOB、LiBOBをはじめ、LiBF4、LiDFOP、LiPO2F2、PSTなど、さまざまな電解液材料を取り扱っています。

電解液添加剤事業は同社売上の約9割を占める主力事業です。

また、ナトリウムイオン電池向けのNaFSI、NaPF6、NaPO2F2、NaBF4、NaBOBなども扱っています。

複数の電解質塩や添加剤をそろえているため、特定の材料だけでなく、電池全体の設計を踏まえて材料を検討できます。

Rolechem社の製品群

分類・主な用途

LiFSI

イミド系リチウム塩/リチウムイオン電池用の主塩・添加剤

LiDFOB

フッ素・ホウ素系リチウム塩/リチウムイオン電池用の添加剤

LiBOB

ホウ素系リチウム塩/リチウムイオン電池用の添加剤

LiBF4

リチウム塩/リチウムイオン電池用の添加剤

LiDFOP

リン系リチウム塩/リチウムイオン電池用の添加剤

LiPO2F2

リン系リチウム塩/リチウムイオン電池用の添加剤

NaPF6

ナトリウム塩/ナトリウムイオン電池用の電解質塩

NaFSI

イミド系ナトリウム塩/ナトリウムイオン電池用の電解質塩

R&Dから量産まで対応できる開発・製造体制

Rolechem社は、研究開発から試作、スケールアップ、量産まで対応できる開発・製造体制を整えています。

電解液材料では、化学反応だけでなく、精製工程や水分、不純物の管理も製品品質に影響します。

研究段階で得られた条件を量産設備へ展開し、安定した品質で供給できる体制を持っているため、開発初期から量産を見据えた材料検討ができます。

研究開発拠点は上海の浦東および閔行に設置され、顧客ニーズに基づく材料設計から性能評価、スケールアップ検討まで実施しています。

2024年の研究開発投資額は約5,000万元(約12億円)で、継続的な技術開発に取り組んでいます。

電池性能に合わせた添加剤・材料提案

Rolechem社では、材料を単体で供給するだけでなく、電池の構成や要求性能に合わせた材料提案にも対応しています。

正極・負極の材料や目標とする性能を踏まえ、複数の添加剤や電解質塩の組み合わせを検討できます。

高エネルギー密度化、急速充電、サイクル寿命、温度特性など、それぞれの課題に応じて電解液材料を選定できる点が特徴です。

また、mgレベルからトンレベルまでのスケールアップや、顧客仕様に合わせた純度設計・カスタマイズ開発にも対応しています。

NAGASE Mobilityによる電池材料のソリューション提案

NAGASE Mobilityでは、Rolechem社をはじめとする材料メーカーとのネットワークを活かし、リチウムイオン電池の開発課題に合わせた材料提案を行っています。

電解液添加剤だけでなく、電極材料や周辺材料も含めて幅広く検討できます。

ご支援の範囲は材料の供給だけにとどまりません。

材料選定やサンプル評価、技術課題の整理、量産化の検討に加え、地政学リスクも考慮したサプライチェーンの構築まで一貫して対応します。

また、日本だけでなく北米、欧州、中国、インドなどの拠点を通じ、材料の評価から調達、量産時の供給までサポートしています。

海外メーカーとの取り組みでは、日本市場の品質要求や評価プロセスを踏まえた技術調整を行い、お客様と材料メーカー双方のニーズをつなぐ役割も担っています。

電池性能の改善や新しい材料の採用をご検討の際は、NAGASE Mobilityまでご相談ください。

※本WEBページに掲載されている画像の制作に生成AIを使用しています 。