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排水中に含まれるリン成分の除去方法

2025.04.15

1.リンの環境への影響と除去の必要性

リンは、工場排水などに含まれる主要な栄養塩類の一つであり、水環境への影響が大きい成分です。植物プランクトンは、BODやCODといった有機物が無くても、太陽光と窒素・リンがあれば光合成によって有機物を生成します。このため、排水中の有機物を除去しただけでは水質改善は不十分であり、リンが過剰に流入すると富栄養化を引き起こし、アオコの大量発生や生態系のバランス崩壊を招きます。

水質汚濁防止法において、リンの排水基準は16 mg/L(日間平均8 mg/L)と定められています。特に閉鎖性水域(湖沼や内湾)では、より厳しい上乗せ基準が設定される場合もあり、適切な排水処理による除去が求められます。

2. 工場排水に含まれるリンの発生源

リンは、さまざまな産業から排出されます。代表的な例として、以下のような業界が挙げられます。

  • 食品工場

    :食品加工の過程でリン酸塩が添加されることが多く、排水にもリンが含まれる。

  • 化学工場

    :リンを含む薬品や洗剤の製造工程で排出される。

  • 金属加工工場

    :リン系防錆剤や洗浄剤の使用による排出。

排水中のリン濃度は生産プロセスにより大きく異なるため、自社の排水水質を測定し、適切な対策を講じることが重要です。

3.リンの除去方法とその特徴

リンの除去方法は、大きく「物理化学的処理法」と「生物学的処理法」に分類されます。それぞれの代表的な方法と特徴を以下に示します。

尚、生物学的処理法については”こちらのページ”で詳しく説明しますので、参照ください。

◆物理化学的処理法

◆生物学的処理法

4. 除去方法の選択ポイント

上記でピックアップした種々のリン除去方法から適切な処理方法を選択するためには、以下の観点を考慮することが重要です。

(1) 原水水質、処理目標

  • 原水中のリン濃度、BODや窒素などの共存物質

  • 必要とされる処理水のリン濃度

(2) 運用コスト・維持管理のしやすさ

  • 設備の初期導入コスト

  • 薬品や汚泥処理、曝気動力などのランニングコスト

  • pH調整や生物の管理など、維持管理項目やその容易性

(3) 既存設備での有効活用

  • 自社で既に有している排水処理設備(活性汚泥や凝集沈殿など)の活用

また、近年ではリンの資源回収に注目が集まっており、環境負荷の低減だけでなく、回収したリンを肥料などに再利用する取り組みも進んでいます。

まとめ

工場排水中のリンの除去は、水環境保全において極めて重要な課題です。物理化学的処理法と生物学的処理法を適切に組み合わせることで、効果的なリン除去を実現できます。

今後も排水処理技術は進化を続けており、特に持続可能な資源回収の視点が重要になっています。企業の環境負荷低減とコスト削減の両立を目指し、最適な処理技術の導入を検討しましょう。

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