

電池開発では、設備を保有していても評価待ちや人員不足によって開発が停滞することがあります。本記事では、セル評価からパック評価、BMSを含む試験環境構築、評価後の原因解析までを含めた「評価リソース活用」の考え方と、NAGASE Mobilityが提供する開発支援について紹介します。
電池開発の現場では、「評価設備がない」ことよりも、設備を保有しているにもかかわらず、必要な試験を必要なタイミングで回し切れないことが、開発のボトルネックになるケースがあります。
自動車メーカー、電池パックメーカー、材料メーカーそれぞれにおいて、現場の課題は多様です。
今回はこうした「評価リソース不足」を補い、試験結果を次の開発判断へつなげるための外部評価活用についてご紹介します。
例えば、自動車メーカーでは社内に評価設備があっても、案件数や試験が増えると、充放電試験機や恒温槽など設備の予約が埋まり、評価着手までに待ち時間が生じる、長期サイクル試験が装置や恒温槽を占有するといった課題が生じ、候補セルの比較や追加検証が後回しになることがあります。
こうした評価待ちは、材料選定、セル選定、パック設計、熱設計など、その後の判断にも影響します。
また、電池パックメーカーでは、セル単体の評価はできても、モジュール・パック向けの高電圧・大電流試験や、BMS、専用充電器、恒温槽を連動させた評価環境の構築に設備と人員が不足しがちです。
材料メーカーでは、材料単体の物性評価はできても、試作セルの評価や長期サイクル試験まで社内で回し切れず、材料の違いを電池性能として示すためのデータ取得が課題になることがあります。
電池評価で必要なのは、容量や抵抗を測定した結果だけではありません。
「なぜ温度が上昇したのか」「抵抗増加はセル劣化なのか、接続や制御の問題なのか」「BMSが停止した原因は何か」「次の試作では、何を変更すべきか」といった判断材料まで得られて、初めて評価結果を次の設計へ反映できます。
そのためには、セル単体だけでなく、BMS、充電器、回路、熱、制御を含むシステム全体を見る視点が必要です。

電池の使われ方は、製品やシステムによっても異なります。走行パターン、急速充電、回生入力、待機状態、温度変化、BMS制御などを再現するには、専用充電器、電子負荷、恒温槽、PLC、BMS通信を組み合わせた試験環境が必要です。
しかし、この環境を社内で一から構築すると、機器選定、通信設定、制御プログラム、安全対策に多くの工数がかかります。
セル評価では、多数の候補を比較するためのチャンネル数が重要です。一方、モジュール・電池パック評価では、高電圧・大電流への対応や、大型恒温槽、BMSを含む制御環境が必要になります。
これらをすべて社内でそろえ、案件の増減に合わせて維持することは容易ではありません。社内で不足する電圧・電流帯、チャンネル数、温度環境だけを、外部設備で補う考え方が有効です。

こうした不足に対しては、自社で担う評価と外部へ切り出す評価を整理し、必要な設備や解析機能だけを外部から取り込む方法があります。
NAGASE Mobilityでは、専門機関とのネットワークを活用し、電池評価から原因解析までを組み合わせた支援を行っています。
パートナー企業が保有する日本国内の評価拠点は、蓄電システムの開発・設計・製造に携わってきた経験を持ち、セル単体だけでなく、BMS、充電器、回路、熱、制御を含むシステム全体の視点から試験条件を検討できます。

走行パターン、急速充電、回生入力、温度変化、BMS制御など、実使用に近い条件を再現する場合には、専用充電器、電子負荷、恒温槽、PLC、BMS通信を組み合わせたカスタム試験環境の構築にも対応します。
設備面では、セル向けの多チャンネル設備から、最大1500V級、800A級、200kW級の大型パック向け設備まで、幅広い評価環境があります。
40℃から100℃程度まで対応する複数の恒温槽もあり、低温・高温環境での充放電試験、保存試験、長期サイクル試験を実施できます。
リアルタイム監視にも対応しているため、設備キャパシティだけでなく、長期試験の監視・運用負担も外部化できます。
また、試験中に温度上昇や抵抗増加などの異常が確認された場合には、追加試験や条件変更の方向性を検討し、原因の切り分けにつなげる情報提供ができます。
同評価拠点では、電気化学インピーダンス測定、X線透過やマイクロスコープによる観察、不活性ガス雰囲気のグローブボックス内での電池解体にも対応しています。
さらに必要に応じて、安全性試験、SEM、TEM、XRD、XPS、非破壊解析、放射光分析などを担う専門機関へ接続できます。
一次評価と原因の切り分けを行った上で必要な高度解析へ進むことにより、複数の委託先を個別に探し、管理する負担も軽減できます。

「設備はあるが、空きがない」「セルは評価できるが、パックまでは対応できない」「BMSを含む評価環境の構築に時間がかかる」「試験結果はあるが、不具合原因を判断できない」「材料の違いを、電池性能として示したい」
このような課題がある場合は、すべてを外部へ委託するのではなく、社内評価と外部評価をどう分担するかを整理することが第一歩です。
NAGASE Mobilityは、評価対象、試験条件、社内設備で対応できる範囲を確認しながら、試験条件の設計、長期運用、評価後の解析まで含めた進め方をご提案します。
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