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モーターコア高効率化の限界突破|金型とプレスのシンクロニシティ

xEV向けモーターコアの高効率化には、金型とプレス機を一体で最適化する「シンクロニシティ」が重要です。本記事では、加工歪みや鉄損を抑制するための金型・プレス技術と、製造プロセス全体を最適化する垂直統合型ものづくりが可能なNAGASE Mobilityの強力なパートナーについて紹介します。

イシュー

モーターコア製造において、設計者の意図を現実の製品へと正確に落とし込むためには、金型とプレス機を一つのシステムとして最適化する「シンクロニシティ」が不可欠です。

どれほど精密な金型を製作しても、プレス機という動的な環境下でその精度が維持されなければ、材料へのダメージは避けられません。

特に近年のトレンドである高回転化・高周波駆動においては、わずかな加工歪みが鉄損の急増を招きます。

そのため、金型設計の段階からプレスの動特性や材料の物理的挙動を取り込み、製造プロセス全体を「垂直統合」することが、次世代モーターのサプライチェーンにおける核心的な競争力となります 。

磁気特性を死守する「超精密金型」の設計哲学

モーターコアの磁気特性を守るためには、電磁鋼板を切断する際の物理的ストレスを最小化する設計哲学が求められます。

プレス加工において磁気特性を損なう最大の要因は、残留応力です。打ち抜き時の塑性変形によって導入された格子欠陥が磁壁移動を物理的に阻害し、ヒステリシス損を増大させます。

この課題を解決するカギは、材料特性に応じた「最適な抜き隙間(クリアランス)」の動的設計です。単にクリアランスを小さくすればよいわけではなく、材料の板厚や硬度、さらには絶縁被膜の特性に合わせてμm単位で最適値を算出します。

これにより、切断端面のダメージ層を最小限に抑え、加工歪みによる透磁率の低下を著しく改善することが可能になります。

モーターコア用の精密金型。μm単位のクリアランス管理が磁気特性を死守する。

取り組み内容

超薄板(0.1 ㎜級)の高速積層を可能にする微細送り精度

高周波駆動時の渦電流損を抑制するため、0.1 ㎜級の電磁鋼板の採用が加速しています。
しかし、薄板化は打ち抜き時の剛性不足を招き、座屈や歪みといった加工難易度の飛躍的な向上をもたらします。

これを克服するためには、金型内部での熱変位を極限まで抑える構造設計と、高剛性な微細送り機構が不可欠です。研削加工や放電加工を駆使した超精密なガイド構造により、高速プレス時でμm単位の精度を維持し、真円度や平面度の高い薄板積層を実現します。

熟練の技能による金型調整。微細な形状管理が超薄板加工の安定性を支える。

開発スピードを加速する「フィードバックループ」

設計図上の理想を量産品として安定させるためには、試作段階での不具合を迅速に解析し、量産金型へ反映させる「一貫体制」の仕組みが必要です 。
モーターコアの試作段階では、バリの発生や占積率の不足、積層ズレといった「作ってみなければわからない」問題が頻出します。

これらに対し、現場での解析結果を即座に金型設計に反映させるフィードバックループを構築することにより、不具合の原因が「金型仕様」にあるのか「プレス条件」にあるのかを迅速に切り分けることができます。

この「作れる設計(DfM:Design for Manufacturing )」の観点からのコンサルティングは、開発リードタイムの劇的な短縮に寄与します。
特に占積率の向上は発熱対策のボトルネックとなるため、初期段階での精度追い込みは最終製品の定格出力を左右します。

エッチング・切削からの工法転換によるコスト削減事例

開発初期に用いられるエッチングや切削加工は自由度が高い反面、タクトタイムが長く材料歩留まりも低いため、量産時にはプレス加工への転換が求められます。

エッチング・プレス比較において、プレスへの工法転換は、圧倒的な生産スピードによるコスト削減だけでなく、カシメ積層などの高度な接合技術の活用を可能にします。

極小コアから駆動用大型コアまで、全方位に応える生産インフラ

次世代モーターの多様なニーズに応えるには、微細加工から駆動用大型コアまでを網羅する広範な生産キャパシティが不可欠です。
この領域において、NAGASE Mobilityのパートナーである吉川工業ファインテック株式会社は、3トンから3 0 0トン級までの幅広いプレスレンジを保有し、全方位的なソリューションを提供しています。

世界最小クラスへの挑戦:直径2.3 ㎜のカシメ積層実績

ウェアラブルデバイスや精密医療機器向けの超小型モーターでは、部品の極小化が極限まで進んでいます。

同社は直径2 . 3 ㎜という世界最小クラスのカシメ積層実績を有し、これは微細送り精度と金型剛性の高さを証明するものです。
このような極小コアにおいても、残留応力を低減し、材料特性を最大限に引き出す技術が適用されています。

多様なサイズのモーターコア。極小コアから大型コアまで精密に積層される。

駆動用モーターコアの新拠点:北九州第2 工場の生産能力

一方で、xEV向けの駆動用モーターコアといった大型案件に対応するため、3 0 0トン高速プレスを擁する北九州第2工場が稼働しています。

ここでは材料強度の限界付近での設計が求められる大型コアに対し、高精度な積層・接合技術を安定供給する体制が整えられています 。
品質管理においては、バリの高さや積層平面度をインラインで監視し、自動車産業特有の厳格な品質基準に応えています。

これは金型設計からプレスまでを垂直統合した同社だからこそ実現できる、安定した「加工プロセスの最適化」の結果に他なりません。

300トン級の大型高速プレス機。EV駆動用などの大型コア量産を支える。
自動検査装置。 プレスから検査までの一貫したラインが品質を担保する。

NAGASE Mobilityと共に創る、次世代モーターのサプライチェーン

モーターの性能向上、特に高回転域での鉄損低減や熱マネジメントの解決は、材料選定だけで完結するものではありません。
吉川工業ファインテックが提供する「金型・プレス一貫体制」は、残留応力という「不可視の敵」を製造現場で制御し、設計思想を確かな物理現象として形にする唯一無二の手段です。
 
NAGASE Mobilityとの強力なパートナーシップにより、材料調達から超精密加工、そして次世代の評価技術までを一気通貫で提案する付加価値は、設計者が抱えるジレンマを解消する強力な武器となるはずです。

完成した高精度モーターコア

技術相談・試作相談のご案内

次世代モーター開発における磁気特性の向上、薄板積層の難題、あるいは工法転換によるコスト最適化など、お困りのことはありませんか。

NAGASE Mobilityと吉川工業ファインテックでは、設計図面段階からのDfM(製造性考慮設計)提案や、試作から量産までを見据えた技術支援を行っております。
貴社の「設計思想」を現実に変えるための共創パートナーとして、ぜひお気軽にお問い合わせください。

吉川工業ファインテック:精密金型とプレス加工の シンクロニシティで未来を創る。