電気自動車における電動パワートレインの開発動向は、バッテリー同様に目が離せません。今回は名古屋大学 未来材料・システム研究所の教授であり、パワーエレクトロニクス分野の第一人者である山本真義教授に、電動パワートレインの中でもパワーモジュールケース、基板の実装、電流センサ、絶縁材料など様々なトレンドを伺います。
電気自動車において、バッテリーと並んで技術開発動向が着目されるのが、電動パワートレインの領域です。
eAxle をはじめとした電動パワートレイン関連の開発動向は群雄割拠ですが、電動パワートレインの中枢的な役割を担うインバータに関連する部品の一つとして、NAGASE はパートナー企業と共にパワーモジュールケースの開発を進めています。
山本教授はこのパワーモジュールケースが採用されたインバータは、業界に激震を起こしたと話します。
ポイントはラジエータ構造の導入による高い放熱効果により、インバータが高電圧化した際にも駆動温度が高温になりすぎないことです。
これによりニッケルコーティングの銅のように高い熱伝導性ではあるものの高価な素材ではなく、より安価なアルミニウムを放熱基板に採用できたのだろうとみています。
放熱基板の素材の他に、チップの基板実装時の接合に使われる素材にもトレンドの変化が起きていると山本教授は言います。
電気自動車の性能の進化に伴い消費される電力が大きくなり、パワー半導体は従来のSi からSiC に移行していくことによって駆動温度が従来以上に高くなり、その対策として従来のはんだの代わりにより融点の高い焼結銀や焼結銅を用いるトレンドが来ているとのことです。
NAGASE はインバータの構造について多角的な将来を見据え、SiC チップを基板の中に埋め込む方式のインバータもご紹介しています。
これは48 V 以上の大電圧が発生した際を想定しています。山本教授は車体全体を見渡すと電動化部品が増えるため、48V以上の電源システムが必要になってくると話します。
NAGASE はインバータの構造について多角的な将来を見据え、SiC チップを基板の中に埋め込む方式のインバータもご紹介しています。
これは48 V 以上の大電圧が発生した際を想定しています。山本教授は車体全体を見渡すと電動化部品が増えるため、48V以上の電源システムが必要になってくると話します。
「低背化」「低インダクタンス化」「放熱化」といった、これらのトレンドが後押しし、市場で部品内蔵基板の技術への注目度が高まっていると指摘します。
モータの動作状態をリアルタイムに監視することにより、モータ制御や保護を行うためには電流センサが欠かせません。
山本教授によると電流センサには主に3 つのトレンドがあります。
BEVはもちろんのこと、HEVやPHEVといったハイブリッドタイプのEVにおいても、「電動化の割合」がどの程度になるのかによって、電流センサに求められる精度と方式が変わるだろうと話します。 と同時に、「冗長性を持たせる」という視点も大事と指摘します。
NAGASE はモータ用途を想定した、特殊な製造プロセスを用いた絶縁材料のご紹介も進めています。
今回は限られた分野の動向を伺いましたが、様々な要素が絡み合って高性能化する電動パワートレインからは今後ますます目が離せません。
高性能化に伴い、パワー半導体の駆動温度への対策など大きな課題も存在します。このような注目度の高い業界の課題とEVの将来をNAGASEはモノと技術で支えます。