ポリエステルポリオール(PEP)

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ポリエステルポリオール(PEP)の概要

ポリエステルポリオール(PEP)の概要

ポリウレタン原料のポリエステルポリオールは、脂肪族ポリエステルポリオールと芳香族ポリエステルポリオールに大別されます。ポリエステルポリオール(PEP)を原料に用いたポリウレタン製品は、ポリエーテルポリオールに比べ耐熱性、機械強度に優れますが、エステル結合があるため耐加水分解性に劣るという特性があります。これを改善するため加水分解安定剤を配合する、あるいはグリコールの分子鎖や二塩基酸の分子鎖を長くし疎水性を向上させる方法をとる必要があります。

<PEPの分類>

PEPは二塩基酸と多価アルコールから製造され、主にエラストマー、塗料・コーティング、接着剤の原料となります。大半のメーカーはポリウレタン製品を生産する目的でPEPを生産し、内製向け消費がメインで外販量はPPG系ポリオールと比較すると少ない傾向があります。エラストマーは主に各種産業・工業部品に使用され、参入メーカーとしてBASF、Covestro、LANXESS、DIC、東ソー、Lubrizolが挙げられます。塗料・コーティングは主に建材・自動車補修などに使用され、参入メーカーとしてSherwin Williams Paint、PPG Industries、BASF、Axalta Coating Systemsが挙げられます。接着剤は主に食品などのラミネート・自動車内装・建築材に使用され、参入メーカーとしてトーヨーケム、三井化学、コニシ、DIC、サンスター技研が挙げられます。二塩基酸の参入メーカーとして浙江华峰集団、INVISTA、BASF、LANXESSが挙げられます。

こうした各用途の参入メーカーは自社でPEPを製造しているメーカーが多数を占めています。

ポリエステルポリオール(PEP)の原料

PEPは二塩基酸と多価アルコールを原料に縮重合し、末端にヒドロキシ基を付与することで製造されます。原料となる二塩基酸と多価アルコールを以下に示します。

<原料の二塩基酸>
<原料の多価アルコール>

ポリエステルポリオール(PEP)の市場

PEPの世界の市場規模は約2,000,000∼2,500,000MTで、PEPは自動車業界や人工・合成皮革向けの需要を取り込み市場拡大が続いています。特に中国では靴底向けエラストマー、人工・合成皮革などの需要の拡大に伴いPEPの需要が拡大し、国内消費が進んでいます。

ポリエステルポリオール(PEP)の主要参入企業

PEPの主な参入企業と製品(ブランド)、国、を以下に示します。

企業 製品・ブランド
DIC ポリライト 日本
中国
オーストラリア
自消性
人工・合成皮革
可塑剤用
東ソー ニッポラン 日本 自消性
塗料用
日立化成 テスラック 日本 植物由来のダイマー酸グレードあり
ADEKA アデカニューエース 日本 塗料・コーティング
接着剤、軟質フォーム、TPU用
川崎化成工業 マキシモール 日本 芳香族系。
難点タイプ、相溶化タイプ、水処方タイプ
“浙江华峰新材料
(Zhejiang Huafon New Materials)”
アジピン酸から一貫生産
靴底、合成皮革、TPU自消が中心
Stepan STEPANPOL 中国
米国
ドイツ
ポーランド
ウレタンフォーム
自動車用
COIM ISOEXTER
DIEXTER
シンガポール
米国
ブラジル
イタリア
再生原料使用
BASF Lupraphen 中国
インド
ブラジル
ドイツ
イタリア
アジピン酸から一貫生産
靴底、合成皮革、TPU自消が中心
INVISTA TERATE
TERRIN
米国
オランダ
アジピン酸から一貫生産
Huntsman TEROL 米国
トルコ
芳香族
Covestro Baycoll
Desmophoen
Vulkollan
世界各地に拠点あり 接着剤・PUD自消用
LANXESS Fomrez 世界各地に拠点あり アジピン酸から一貫生産
<PEP主要参入企業>

PEP市場には上記以外にも多くの企業が参入しています。日本では三井化学、花王、三洋化成工業、クラレ、伊藤精油、豊国精油などが挙げられます。中国では数十の現地企業が参入しています。大手だと旭川化学(Xuchuan Chemical)、华大化学集団(Hunda Chemical Group)、万華化学集団(Wanhua Chemical Group)が挙げられます。韓国ではKangnam Chemical社、Seho Tech社、Aikyung Chem社、Songwon Industrial社、台湾では日勝化工股份、正興特化股份、三晃股份、石梅化學工業股份、詮達化學、立大化工股份などが参入しています。欧州ではEvonik Industries社、Kingspan社、Purinova社、Helios Resins社、Kobe Polyurethane社が、アラブ首長国連邦ではEsterpol社、Baalbaki Chemical Industries社の参入が挙げられます。

浙江华峰新材料は中国最大のPEPメーカーで、グループ内でアジピン酸の調達し、TPUや人工皮革、スパンデックスを含めたウレタン製品で中国を中心にシェア拡大しています。なお同社は靴底向けでは世界最大の販売数量を持っています。

Stepan社は、北米では需要が逼迫したMDI市場の反動と断熱材の需要増加を受けて販売数量を伸ばしていますが、欧州ではドイツでの生産工程の改善を通じて一時的に販売数量が低下しています。

COIM社は自社製のポリウレタン製品であるTPUやTSUにも自消しています。オーストリアのAtomosa社から無水フタル酸の長期調達を受けています。その他欧州やインドではOEM生産によるPEP供給が多くなっています。

日本ではDICが最大市場シェアを握っており、自消でPUDや各種接着剤を手掛けています。同社の外販部門では人工皮革やエラストマー向け、自動車構造用の接着剤向けを中心としています。他では東ソーは自消でTPUやTSUを手掛けています。また、日本国内では三洋化成工業(トナー向け、ウレタンビーズ向け)、日立化成(接着剤向け)、三井化学(エラストマー、接着剤向け)等が挙げられます。

ポリエステルポリオール(PEP)の用途

PEPの用途別のシェアですがざっくりエラストマー向けが15~20%、塗料・コーティング向けが10~15%、接着剤向けが7~10%、フォーム向けが5~7%程度、残りがその他となります。

エラストマー用途を更に細かく分類するとTPUとTSUに分かれ、TPUは日用雑貨品、工業部品、自動車部品などに用いられています。TSUはロール、ベルトなど工業部品として用いられます。中国では靴底用の材料として使用されるPEPが最大ですが、東南アジア周辺に生産拠点の移転が進みつつあるので需要増加は見られずにいます。

塗料・コーティング剤では、建築、自動車用補修、重防食用途向けに用いられます。特に中国ではVOC規制強化による水性化が進み、ポリウレタン樹脂ディスパージョンの主成分としてPEPの需要が強化が進んでいます。

接着剤では、軟包装用ラミネート、建材、自動車、エレクトロニクスなど様々な分野で使用されています。日本では建材や自動車向けで需要が減少しているが軟包装用ラミネートでの需要が増加し全体的に緩やかな増加傾向にあります。

フォームは硬質ウレタンフォーム、軟質スラブフォームで需要があり、硬質ウレタンフォームは新興国・地域などで生産増加がみられます。一方軟質スラブフォームは特殊フォーム製品やフィルタに使用されます。その他、人工・合成皮革の材料、衣料・雑貨・靴などの汎用品、インキ、可塑剤、電子基板用注型材の主剤として使用されます。

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