TDI
中国TDI価格(ICIS/LOW)は、3月はUS$2,700/MTだったが一度も上昇することなく5月末に1,800USD/MTまで下落した。市況はアジアに於いて下落傾向が続いている。
北米寒波を起点としたトラブルは、欧米のタイト感を継続させている一方で、世界的な物流費上昇によりアジア域から欧米へのコンテナ荷動きが鈍いことが原因だ。欧州市況は、下落したものの5月末でUS$2,600/MTとなった。
日本の通関統計によると、5月度に中国及び韓国から、計196MT程のTDI輸入が確認された。依然として中国からの輸入価格は200円を切っており、当時の市況比で安価だ。
MDI
MDI市況は2月のアメリカを襲った記録的な大寒波の影響によるDOW,COVESTRO,BASFの米国プラントでの相次ぐフォースマジュール宣言により、2月から3月にかけて価格は急騰し、中国、ASEANで3月中旬には$3.000/MTを超えるレベルまで上昇したが、BASF(29万トン/年、Geismar)が3月3日にフォースマジュール宣言の解除を発表し、4月に入って中国、ASEAN共に需要があまり芳しくなかったこともあり需給バランスは徐々にタイト感が解消され、4月末には中国で$2,400/MT,ASEAで2,800/MTまで価格は下落した。さらに5月に入っても需要の低迷は続き需給バランスのタイト感はなく、中国で$2,200/MT,ASEANで$2,400/MTまで価格は下落した。6月に入っても季節的要因に加え、パンデミックによる需要の制限もあり需給バランスはタイトではない状態が続き、価格はさらに下落したが下落幅は緩やかになり徐々に安定化してきている。7月以降もしばらく価格は安定したレベルで推移すると思われる。
PPG
2021年6月の中国国内PPG価格は、最終的にはUS$2,000/MTとなった。PO価格の急激な下落に伴い、PPG価格もPO価格に引っ張られるように下落した。PPG需要も、季節的要因とCOVID-19によるロックダウンの影響により、東南アジアを中心に低迷している。ASIAのPPG価格も、6月初旬に比べ約US$300/MT下落した。季節的需要低迷に加え、PO市況の下落、東南アジアの需要低迷を考慮すると、7月も価格は横ばい、もしくは徐々に下落していくことが予想される。
PO
2021年6月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥13,150/MTまで下落した。5月初旬時と比べるとCN¥5,000/MT下落したことになる。中国POメーカーの稼働率が好調を維持している中、季節的な需要低迷に加え、インド等でロックダウン状態となり、インドからのポリオール需要も低迷につながり、PO需要の下落を招き市況が下がった。7月もプラント高稼働率が続けば、季節的に需要はさらに低迷することが予想されるため、7月は6月より市況は下落、もしくは横ばいに推移していくだろう。