TDI
中国TDI価格(ICIS/LOW)は、7月上旬にUS$1,800/MTまで下落したあと反転し、7月末でUS$1,950/MTとなった。需要は変わらず、供給も安定していると考えられるため、価格上昇の明確な理由は不明瞭だ。
一方、欧州TDI価格はUS$2,500/MTとなり、先月からUS$100/MT下落したものの、ASEANと比較し高値だった。
欧米のタイト感は継続している一方で、世界的な物流費上昇によりアジア域から欧米へのコンテナ荷動きが鈍いことが原因だ。
日本の通関統計によると、6月度に中国、韓国、サウジアラビアから、計554MT程のTDI輸入が確認された。中国からの輸入量が約8割を占める。サウジアラビアからの輸入価格は200円を切っており、当時の市況比で安価となる。
MDI
MDI市況は3月に、中国、ASEANで$3,000/MTを超えるレベルまで上昇したものの、4月以降中国、ASEANで需要の低迷が続いたことから、需給バランスは徐々にタイト感が解消され、中国、ASEANで$2,200/MTレベルまで価格が下落したが、7月に入りCOVESTROのドイツ(40万トン/年、Brunsbuttel)で製造装置のトラブルによりフォースマジュール宣言が行われたことや、万華化学(110万トン/年、Yuntai)で7/10から約1か月の定修に入ったこともあり、北米寒波影響によるMDI設備停止の継続と併せて、需給バランスのタイト感が増しており、中国、ASEAN共に足元$2,600/MT程度まで価格が上昇した。8月以降もこの需給バランスが継続すれば、更に価格が上昇する可能性もあると想定される
PPG
2021年7月の中国国内PPG価格は、最終的にはUS$2,450/MTとなった。PO価格の急激な上昇に伴い、PPG価格もPO価格に引っ張られるように上昇した。PPG需要も、季節的要因とCOVID-19によるロックダウンの影響により、東南アジアを中心に低迷している。アジアのPPG価格は、ロックダウンの影響もあり7月初旬に比べ約US$200/MTしか上昇していない。季節的需要低迷に加え、PO市況が下落傾向にあるため、東南アジアの需要低迷を考慮すると、8月の中国国内価格は徐々に下落していくことが予想される。
PO
2021年7月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥16,000/MTまで上昇した。7月初旬時と比べるとCN¥3,000/MT上昇したことになる。計画定修していたプラントも複数あり、稼働率が落ちていた中、7月中旬に大雨の影響で一時的に予期せぬプラント稼働率低下の影響もありCN¥17,800/MTまで上昇した。現在はプラント稼働率も復調しており徐々に市況も下落傾向にあり、季節的に需要は低迷することが予想されるため、緩やかに下落していくであろう。