TDI
中国TDI価格(ICIS/LOW)は、7月上旬にUS$1,800/MTまで下落したあと反転し、8月末でUS$2,000/MTとなった。世界的な需給はバランスしているが、地域による供給差があること、世界的な物流費高騰により価格を保っていると推察する。前月と同様、欧州TDI価格は、ASEANと比較し高値を継続した。
日本の通関統計によると、7月度に中国、韓国、サウジアラビアから、計516MT程のTDI輸入が確認された。中国からの輸入量が約8割を占める。参考にサウジアラビアからの輸入価格は127円/kgであった。冬季に向けて需要期に突入するが、北米ストライキによる海上運賃の高騰継続、巣ごもり需要の増加、半導体不足による自動車生産台数の下方修正など、様々な要因が重なり先行き不透明だ。
MDI
MDI市況は3月に、中国、ASEANで$3,000/MTを超えるレベルまで上昇したあと、4月以降中国、ASEANで需要の低迷が続いたことから、需給バランスは徐々にタイト感が解消され、中国、ASEANで$2,200/MTレベルまで価格が下落したが、7月に入りCOVESTROのドイツ(40万トン/年、Brunsbuttel)で製造装置のトラブルによりフォースマジュール宣言が行われたことや、万華化学(110万トン/年、Yuntai)で7/10から約1か月の定修に入ったこともあり、北米寒波影響によるMDI設備停止の継続と併せて、需給バランスのタイト感が増し、中国、ASEAN共$2,600/MT程度まで価格が上昇したが、8月に入り8/10に万華化学の定修が終了したこと、需要があまり芳しくなかったこともあり需給バランスが徐々に安定した為、中国で$2,300/MT,ASEANで$2,450/MTまで価格が緩やかに下落した。9月以降需給バランスが更に緩むと価格は緩やかに下落傾向になることも考えられる。
PPG
2021年8月の中国国内PPG価格は、最終的にはUS$2,200/MTとなった。PO価格は堅調な推移をしているものの、COVID-19によるロックダウンの影響により、東南アジアを中心に需要が低迷している。アジアのPPG価格は、ロックダウンの影響もあり、7月からほとんど市況の変動はない。ロックダウンの影響と季節的需要低迷もあるが、PO市況が横ばいに推移することが予想されるため、9月の中国国内価格はPO同様に横ばいに推移することが予想される。
PO
2021年8月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥15,600/MTとなった。計画定修していたプラントも複数あり、稼働率が落ちていたので8月中旬時はCN¥16,600/MTまで上昇したが、PPGのような下流原料の需要低迷影響もあり市況は下落した。8月18日に米国DOWプラントがFMを発令した。このFMが原因で中国POの市況が急激に上がることは考えにくいが、今後も横ばいに推移していくことが予想される。