市況レポート11月報

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TDI 

10月の中国TDI価格(ICIS/LOW)はUS$2,300/MT付近を付けた。世界的にTDI需要は芳しくないが、中国での電力制限、石炭不足に伴う工場稼働率の低下を受け、供給のバランスが崩れ価格は上昇している。欧州では、引き続き冬季の需要増と定修予定があることからタイト感が増すことが見込まれている。中国国内では冬季の需要期に入りつつある中、供給バランスが崩れているので引き続き価格は上昇していくだろう。日本の通関統計によると、8月度に中国から計1,350MT程のTDI輸入が確認された。中国からの輸入量が約9割以上を占める。三井化学SKCポリウレタン株式会社は、10月1日納入分よりTDI類を20円/㎏値上げを打ち出しており、海外玉の積極的な攻勢と国内価格との値差から、輸入玉が増加する見込みだ。

MDI

MDI市況は4月以降、中国、ASEANで需要の低迷が続いたことから、需給バランスは徐々にタイト感が解消され、中国、ASEANで$2,200/MTレベルまで価格が下落したが、7月に入りCOVESTROのドイツ(40万トン/年、Brunsbuttel)で製造装置のトラブルによりフォースマジュール宣言が行われたことや、万華化学(110万トン/年、Yuntai)で7/10から約1か月の定修に入ったこともあり、北米寒波影響によるMDI設備停止の継続と併せて、需給バランスのタイト感が増し、中国、ASEAN共$2,600/MT程度まで価格が上昇した。8月に入り、8/10に万華化学の定修が終了したこと、需要があまり芳しくなかったこともあり需給バランスが徐々に安定した為、中国で$2,300/MT,ASEANで$2,450/MTまで価格が緩やかに下落した。8月中旬以降、BorsodChemの定修等もあり、9月に入ると中国で$2,600/MT、ASEANで$2,500/MTまで価格は再び緩やかに上昇した。また、10月下旬より万華化学(40万トン/年、80万トン/年 Ningbo)の定修が始まったこともあり、中国で$2,750/MT、ASEANで$2,800/MTまで価格は再び上昇した。11月以降も価格はしばらく高いレベルで推移すると思われる。

PPG 

2021年10月の中国国内PPG価格は、最終的にはUS$2,400/MTとなった。PO価格上昇に伴いPPG価格もつられる形で価格は上昇、現在PO価格は下落基調にあるものの、原油の高騰によりPPG価格は上がり続けた。今後需要期に差し掛かりつつあり、原油が高騰し続ければ徐々にPPG価格も上昇することが予想される。

PO

2021年10月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥17,100/MTとなった。9月中旬からCo2排出量削減を理由に電力使用量の制限がかかり、POプラントの稼働率も低下したことにより、POのタイト感が増し、10月中旬にはCN¥18,600/MTまで上昇した。しかし、徐々に規制も緩みプラント稼働率も回復している。また、電力制限が理由なのか川下の需要が低迷していることも重なり、最終的にはCN¥17,100/MTとなった。川下の需要が回復すれば安定した価格推移になる予想だが、引き続き川下の需要が回復しなければ徐々に市況は下落していくだろう。

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