クラリアントは、万華から、世界最大級の無水マレイン酸の新プラント向けに触媒を供給する大型契約を受注しました。このプラントは、年間200キロトンの無水マレイン酸を生産するよう設計されており、生産プロセスにはクラリアントのSynDane触媒が使用される予定です。同施設は山東省煙台市に位置し、2023年の操業開始を予定しています。
万華は、新しい無水マレイン酸の製造技術を初めて採用する予定です。従来技術に比べ、生産効率が向上し、電力消費量も削減されます。技術ライセンス元のコンサー社は、生産時間あたり2.5〜3.0MWのエネルギー消費削減を予測しているので、年間8,000時間の生産を想定すると、万華の年間エネルギー削減量は20,000〜24,000MWhになります。
クラリアントのSynDaneは、MAN DWE®を用いた性能試験にて、この新しい製造技術に適していることが判明しています。また、SynDaneは圧力損失が非常に低いため、新しいプロセスの生産効率とエネルギー効率をさらに高めることができます。また、この触媒の特殊な構造と化学組成は、無水マレイン酸に対する選択性を高め、製品の収率を最大化させます。
中国では、非分解性プラスチックの使用を段階的に廃止しているため、土に埋めると自然界に存在する微生物によって完全に分解され、有害な残留物が残らない生分解性プラスチックの需要が高まると予想されます。無水マレイン酸は、その原料となるポリブチレンアジピン酸、ポリブチレンアジペートテレフタレート（PBAT）、ポリブチレンサクシネート（PBS）の重要な基材です。
寧波にある硝酸工場では、2つ目の触媒が選定されました。EnviCat N2O-Sは亜酸化窒素（N2O）を含む排出ガスを高効率で酸素と窒素に変換するよう設計された触媒です。 万華は、N2Oの排出を最大95%まで無害な酸素と窒素に変換することができると期待しています。クラリアントは、この温室効果ガスによる悪影響を最小限に抑えるため、世界中の硝酸メーカー10社にEnviCat N2O-Sを無料で提供する大規模なキャンペーンを開始しました。この触媒を使用すると、N2O排出量をCO2換算で年間400万トン以上削減できます。
