ウレタン塗料の概要、用途、市場動向について

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ウレタン塗料の概要、用途、市場動向について

「ウレタン塗料」とは、「ウレタン結合が含まれているポリマー」のことを指します。

非常に優れた塗料であり、建築や自動車分野などで幅広く使われている塗料です。

本記事では、ウレタン塗料の概要や用途、市場動向について詳しく解説します。

ウレタン塗料の概要

まずは、ウレタン塗料の概要を理解しておきましょう。

ウレタン塗料は、きわめて優秀な塗料です。

具体的には、

  • 柔軟性
  • 耐候性
  • 密着性
  • 耐薬品性
  • 耐傷性

といった部分で優れています。

簡潔に言えば非常に強固な塗料であり、特に上塗りをする際には好んで用いられます。

たとえば建築分野であれば、外壁部などで使われるケースが多数確認されました。

一方で、一液湿気効果型の下塗りなどでも採用例が存在します。

一般的にウレタン塗料と言えば、「アクリルポリオール」が含まれた「アクリルウレタン塗料」を意味することが多くなりました。

アクリルウレタン塗料であれば、塗装後の外観にも優れるというメリットも備わり、より高い汎用性を有するようになります。

ウレタン塗料には、1液と2液が存在します。

1液は、当然ながら開封後すぐに使用することが可能です。

ただし2液と比較して、やや茶色がかった外観の仕上がりになります。

2液の場合は、やはり硬化剤を加えた上での攪拌が必要となります。

一方で1液と比較して密着性に優れているというのが差別点と言えるでしょう。

また、1液よりも短時間で硬化するので、現場において取り回しが聞きやすいのもメリットです。

さらに2液の場合は、ほとんど完全に透明な仕上がるのが特徴です。

この特徴は一般に、「高級感が感じられる」や「光沢が認められる」というように捉えれます。

ウレタン塗料の材料構成

ウレタン樹脂の材料構成は、以下に示すとおりです。

用途・目的 成分 構成比率
樹脂 ポリオール、イソシアネート 20〜30%
溶媒 溶剤 60〜65%
添加剤 分散剤、着色剤 10%〜15%

多くの場合は樹脂を入手して、用途に合わせて構成比率を変化させます。

また、塗り方でも構成比率は適宜調整されます。

要するに、「下塗りなのか上塗りなのか」というような観点に照らし合わされ、構成比率も変化するわけです。

ウレタン塗料における主剤と硬化剤について

もっとも主流なのは、HDI(硬)×PEP(主)という組み合わせです。

PEPでは黄変しづらいものが、HDIでは耐候性に優れたものが好まれて使われる傾向にあります。

その他用途によって、

  • TDI(硬)×PEP(主)
  • IPDI(硬)×PEP(主)
  • IPDI(硬)×PCL(主)
  • IPDI(硬)×PCD(主)

というような組み合わせが採用されることもあります。

いずれの組み合わせでも、耐候性や柔軟性などにすぐれた物性を持たせることが可能です。

ウレタン塗料におけるこれまでの市場推移と今後の予測について(国内)

続いて、ウレタン塗料における、これまでの市場推移を解説します。

合わせて、2022年までの予測についても触れています。

日本においては、ウレタン塗料市場は縮小すると予測されています。

ただし、「ウレタン塗料の国内需要が失われつつある」、というわけではありません。

需要は健在ではあるものの、主剤として使われるHDIが供給過少によって、ウレタン塗料市場が縮小するというのが実情です。

HDIの供給が安定しない限り、国内においては縮小傾向をたどると予測するのが自然でしょう。

また、HDIに代わる主剤が開発されるといった見込みもほとんどありません。

拡大が期待できない一方で、急激な縮小も考えづらいでしょう。

中国が、世界中で取引されるウレタン塗料の半分を占めています。

中国の建築バブルが如実に反映されていると言えるでしょう。

中国には、「開発が必要だが、未開発である」という地域が多数存在します。

該当する地域に開発の手が入るなら、中国での需要はさらに伸びるかもしれません。

また自動車分野では、アクリル塗料からウレタン塗料への移行が急速に進められています。

移行が順調に進むのであれば、やはり中国ではウレタン塗料への需要が高まるでしょう。

用途別の販売動向について

ウレタン塗料がもっとも必要なのは、建築分野であり、ほぼ過半数を占めています。

主に、「屋根部が外壁部に、耐候性などを付与する」というような目的で、ウレタン塗料は幅広く使用されています。

その他、メンテナンスや補修、あるいは光沢の保持といった目的でも多用されるものです。

自動車分野においては、補修や光沢の保持といった用途で多用されています。

また腐食を防ぐため、「コーティング」というような形で応用されることもあるようです。

構造物分野では、鉄骨やタンクなどを補強するというような目的で、ウレタン塗料は使われています。

一部例として、建設機械や家具、あるいは土木などがあります。

ウレタン塗料の価格動向について

ウレタン塗料は、国・地域別でさほど大きな価格差はありません。

ただ、分野ごとではある程度の価格差が発生していることは明らかです。

また、自動車用途の場合は、その他と比較すれば高価になる傾向があります。

先ほど触れたとおりHDIの供給が不足していることから、価格は低下しづらいと予測されます。

むしろHDIの供給状態が悪いままなら、価格向上が認められるかもしれません。

まとめ

ウレタン塗料はきわめて汎用性が高く、世界中で大きなニーズを保っています。

特に発展途上国でのニーズは強大であり、今後も著しく市場が拡大していくでしょう。

一方でHDIの供給が不足している部分もあり、これが日本国内では縮小傾向の一因となっています。

あるいはニーズが伸びている地域でも、HDIの不足によって市場拡大が低減されている側面もあると考えるのが自然でしょう。

また供給が少ないことからは、ウレタン塗料は今後も高水準の価格を維持できると予測できます。

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