TDI
5月の中国TDI価格(ICIS/LOW)は、成約自体はあまり多くは無い状況が続いており、$2,250/MTで前月同様に低い価格帯で推移した。中国国内価格は、4月下旬から5月中盤にかけて需要が旺盛になったことから、CN¥20,000近辺で推移していたが、5月末には需給が緩み、CN¥17,000付近まで下落した。ASEAN価格(ICIS/LOW)については、需要自体は旺盛でなく、引き続き価格は下落傾向にて推移した。北米では、今後の景気の後退が予測される中、TDIの需要レベルは高くない状況が続いているが、各サプライヤーの稼働も十分ではなく、前月同価格帯にて推移した。欧州は、引き続き需要の停滞状況が続いているが、エネルギーコストの緩和が継続して見られ、価格は前月に引き続きUS$125/MT程度の幅で下落した。
日本の通関統計によると、4月度の中国からのTDI輸入量は、計1,037MTと前月並みであった。全輸入量の内、中国からの輸入量が91％を占めた。国内サプライヤーの価格が高い価格帯で推移しているものの、海外メーカーにとって日本向けは価格面で魅力的ではない状況は続いており、輸入される数量は今後も限定的と推定される。
MDI
MDI市況は2023年の年明け以降、中国、ASEAN共に価格が上昇し、2月にはクルードMDI価格は中国でUS$1,900/MT、ASEANでUS$1,850/MTまで上昇した。またピュアMDI価格は中国でUS$2,250/MT、北東アジアでUS$2,150/MTまで上昇した。
3月に入っても前半は需給バランスがタイトな状況が続き、中国、ASEAN共に2月後半と同程度の価格レベルで推移したが、後半は若干需給バランスの改善もあり、中国のクルードMDI価格は若干の下落となった。
4月に入ると中国の需要は弱含みで推移し、ASEANではラマダン休暇、ソンクラン休暇もあり需給バランスは緩んだ状況となり、クルードMDI、ピュアMDI共に若干下落し、クルードMDIはUS$1,800～1,850/MT、ピュアMDIはUS$2,050～2,100/MT
となった。
5月に入っても中国では連休中にスポットビジネスがほとんど消滅する形になり、またASEANにおいても需要低迷の状況が継続し、クルードMDI価格は中国でUS$1,750/MT、ASEANでUS$1,700/MTまで下落した。
PO
2023年5月の中国国内PO価格は、最終的にCN￥9,600/MTとなった。5月初旬に、中国POメーカーのプラントトラブルにより、一時的に中国国内価格はスポットで上昇したが、特に川下需要が低迷しているため、市況は徐々に下落した。供給面では潤沢に玉が余っているわけではないが、需要が回復しておらず、6月も横ばいに推移することが予想される。
PPG
2023年5月の中国国内PPG価格は、US$1,370/MTとなった。引き続き中国国内向け需要はあまり芳しくなく、東南アジア向けも同様に需要が回復していない。PO市況は、一時的にスポットで上昇したが、川下需要の低迷から、PPG市況は横ばいに推移した。PO価格が高騰することは考えにくく、引き続き中国・東南アジアでウレタン需要が回復しなければ、PPG価格も横ばい、もしくは徐々に下落することが予想される。
