スパンデックスは。強度と伸縮性が良いという特長があり、登山服やレギンスなどの衣料品に幅広く使用されている機能性繊維です。このスパンデックスの需要が回復の兆しを見せています。これをうけて、Hyosung TNCのスパンデックス設備は90%以上の生産能力で稼働しています。
業界関係者は2024年1月2日、Hyosun TNCのスパンデックス生産設備の稼働率が昨年末までに90%を超えたと報じました。この増産は、世界最大の石油化学製品輸出国である中国でのスパンデックス需要の高まりを起因としています。2023年1月から10月までの中国のスパンデックス需要は、前年同期比13.4%増の69万トンでした。中国におけるスパンデックス製品の自給率低下に伴い、輸入量は同88.1%増加し、輸出量は同2.7%減少となりました。
スパンデックス業界の寡占化は、世界シェアトップのHyosung TNCにとって有利と見られています。競争力の低下により、中小企業はスパンデックス工場を閉鎖しています。中国におけるスパンデックス生産者の数は減少しており、2015年には22社だったものが、2021年には13社に、さらに昨年は11社に減少し、先月末までに4社が生産を停止しました。中国の化学業界誌CCFグループは、今月さらに2社がスパンデックス生産を停止し、他の企業も稼働率を下げるだろうと予測しています。
中国の中小企業の閉鎖・操業停止は、2020年以降のスパンデックス業界の競争激化と供給過剰が原因です。さらに、主要原料であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の供給が不安定で、原料コストの上昇を招き、中小企業は生産停止を余儀なくされています。
対照的に、Hyosung TNCはPTMGの内製化と製品のプレミアム化を通じて市場競争力を強化し続けています。同社は2023年、5,300万米ドルを投資してベトナムにPTMG生産施設を完成させました。また、トウモロコシ由来の素材から作られたCreora Bio-basedや、汗の臭いを消すCreora Freshなどの製品で市場を狙っています。