サウジアラビアの化学・プラスチックグループであるSabicとLinde Engineeringは、SD社が特許を持つエチレングリコール(EO)プロセスの脱炭素化の可能性を共同で追求するため、互いおよび米国に拠点を置くSabic傘下のScientific Designと覚書を締結しました。
Scientific Designは、Sabicとスイスの特殊化学品メーカーであるクラリアントとの折半出資の合弁会社としてスタートしました。サウジアラビアの会社によると、昨年パートナーの買収に成功しました。Scientific Designは、酸化エチレン(EO)、エチレングリコール(EG)および誘導品、ポリオール、無水マレイン酸の独自プロセスの開発、ライセンス供与、触媒供給における世界的リーダーです。
提携計画では、SabicのCO2回収・精製技術を世界中のSDライセンスを取得したグリコール製造施設に提供し、持続可能なEO・EG製造方法を確立すると同時に、カーボンニュートラル産業の業界全体のベンチマーク作りを支援していくことになります。
Sabicによると、この工場は、年間生産能力約70万トンのモノエチレングリコール(MEG)製造関連会社 Jubail United Petrochemical Companyの敷地内にある世界最大の炭素回収・利用(CCU)プラントで、すでにその有効性は実証されています。この技術は、生産時に排出されるCO2を年間50万トンまで回収・浄化することが可能です。
サウジアラビア企業は、Scientific Design およびLinde Engineeringとの協力が成功すれば、”化学産業を変革し、持続可能でカーボンニュートラルな未来への移行を加速するための重要な一歩 “になると述べました。
ロードマップの定義
Sabicは、カーボンニュートラルに向けた「明確な道筋」を描いており、既存の資産ベースと将来の成長経路の両方において、革新的な技術を大規模に進歩させる必要があると述べています。また。Linde Engineeringは、SD社およびSabic社との協力を通じて、カーボンニュートラルな石油化学産業を支えるソリューションを見出したいと述べています。
Sabicが2021年に発表したロードマップでは、エネルギー効率、再生可能エネルギー、電化、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)、グリーン/ブルー水素など、カーボンニュートラルに向けた5つの重要な道筋が示されています。
その際に示された目標は、2018年比でスコープ1と2の中間排出量を20%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを目指すというパリ協定の目標を達成することです。
サウジアラビアがCCSシンクタンクに参加
2023年10月、サウジアラビア王国は、炭素回収・貯留技術(CCS)のスケールアップに焦点を当てた国際的なシンクタンクであるGlobal CCS Instituteのメンバーとなりました。
政府の炭素削減努力の舵取りを担うサウジアラビアのエネルギー省は、米国、英国、中国、日本、オーストラリア政府、シェル、エクソンモービル、東芝、川崎重工、BHPなどの多国籍企業が加盟する同研究所と、能力構築について緊密に協力すると述べています。
2022年、サウジアラビアはジュベイルに世界最大級のCCSハブを開発する計画を発表しました。そこでは、年間4,400万トンのCO2がCCSによって削減される見込みです。