ポリウレタン（PU）プラスチックの生分解は、埋立地処理や焼却と比べてコストが低く、環境に優しい廃棄物再生手法とされています。しかし現在のところ、効果的な分解菌株とその酵素が不足しているため、大規模なPU廃棄物再生の実現が難航しています。
この研究では、沿岸干潟から野生菌株（LTX1）が分離され、その後、UV誘発変異によって分解効率を高めた変異菌株（MLTX1）が得られました。LTX1およびMLTX1は、PUフォームの重量を12日間の処理で80%以上減少させることが可能であり、これまでで最も効率的なPUフォーム分解菌株とされています。
PUフォームの分解は、走査型電子顕微鏡（SEM）、フーリエ変換赤外分光法（FTIR）、熱重量分析（TGA）によって特徴づけられました。また、ゲノミクスおよびトランスクリプトミクスを用いてクチナーゼの1つをコードする新しい遺伝子「purh」がクローン化され、その組換えPurH酵素が大腸菌で発現・特定されました。この酵素はPUフォームを効率的に分解する能力を持っています。
この高効率なPUフォーム分解菌株とその酵素の発見は、PUフォームの生物学的脱重合およびリサイクルの分野における大きな前進を意味します。
