TDI
三井化学TDIプラント稼働停止 アジア市況急騰へ
7月の中国TDI輸入価格(ICIS/LOW)、中国国内価格(ICIS/LOW)は、7月27日に発生した三井化学大牟田工場のガス漏洩の影響による稼働停止を受けて双方とも急騰した。三井化学の公式発表によると、TDIの供給について当面問題がないと発表されている。再開目途は不明の状況である。ASEAN価格(ICIS/LOW)は、中国国内価格の急騰を受けて、同じく上昇した。
北米では、トランプ政権と日本政府との間で、7/23に自動車に対する関税を25%から15%に引き下げることで合意がなされ、米国への輸入比率が高い完成車メーカーの株価が上昇した。TDI市況は比較的安定して推移している。EU圏では7月16日に発生したCovestroのドルマゲン工場の稼働停止により、供給が徐々にひっ迫しはじめており、稼働停止が長引けばEU全体のTDI市況価格が8月以降上昇する可能性がある。
日本の通関統計によると、全輸入量の内、中国からの輸入量の比率は6月は83%と他の月に比べて高い割合となった。
MDI
2025年7月クルードMDI 、 ピュアMDI共に価格下落
クルードMDI市況(ICIS/LOW)は、中国、東南アジア共に昨年後半以降価格は小刻みに上がったり下がったりの状況が続いた。4月に入り需要低迷・供給過多の状態が続き、中国では$1,650/MTまで落ち込んだ。中国MDIメーカーの定修や対米国関税率が引き下げられることにより供給が圧迫される状況が想定されたため5月には中国で$1,850/MTまで回復したが、7月は$1,750/MTまで価格が下落した。東南アジアではUS$1,800/MTと僅かに下落した。
一方、ピュアMDI市況については中国、北東アジア共に2024年12月末はUS$2,100/MTであった。2025年1~3月までは中国、北東アジア価格共に小刻みに動いていたが、4月には需要低迷・供給過多から中国、北東アジア共にUS$220/MT下落し、US$1,780/MTとなった。5月はクルードMDI同様中国、北東アジア共にUS$2,000/MTまで回復したが、6・7月は低調でUS$1,800/MTであった。
PPG
2025 年7 月の中国国内PPG 価格は、少し持ち直したが、低位で推移しUS$ 885/MT となった。。
供給過剰と需要の低迷が続いており、中国国内のプラントの平均稼働率は、前週の47% から49% に増加しましたが、季節的な低迷により需要は抑えられている。
TDI市場は、今度は日本での三井化学大牟田工場ガス漏れ事故により、さらなる上昇圧力にさらされた。これらの予期せぬプラントトラブルにより、スポットTDI の売り指標が大幅に上昇し、PPG の売り手にも影響を与えている。中国国内では、TDI 価格の高騰を受け、米ドル建て、人民元建てともに価格が上昇している。これにより、買付価格が大幅に上昇た。市場関係者は、TDI の供給逼迫により、7 月初旬と比較して購買意欲はほぼ横ばい、またはせいぜいわずかに強まっているが、市場動向をさらに注視したいと述べ、スポット取引への参入に慎重な姿勢を示している。
PO
2025年7 月の中国国内PO 価格は、CN ¥7,412/MT となった。
中国では、ポリエーテルポリオールの価格が安定している一方で、需要は依然として弱い状況。TDI の価格上昇により、買い手は慎重な姿勢を維持している。実際の需要は低調であり、買い手は慎重な行動を取っている。Covestro はドイツのDormagen 工場でポリエーテルポリオールの生産に関してフォースマジュールを宣言したが、市場への影響は限定的となっている。