LG、中国企業と提携しコスト重視型家電市場に進出

LG Electronicsは、Midea、Haier、Hisenseといった急成長する中国の競合企業からの圧力が高まる中、低価格帯家電市場での存在感を拡大するため、大きな戦略的転換をしています。これまでプレミアム製品を優先してきたLGだが、今後は従来の高級志向とより手頃な価格帯への積極的な展開を両立させる二本柱の戦略を進め、市場シェアの回復を目指します。特に低価格家電の需要が根強い地域での巻き返しを狙っています。

この転換を支えるため、LGはSkyworthやAUCMAといった中国企業と共同開発製造(JDM)契約を結んだ。この契約の下では、製品の設計と開発はLGが主導し、中国のパートナーが製造を担っております。これにより、LGはブランドイメージと品質を維持しつつ競争力のある価格を実現でき、従来のOEMモデルとは異なる点が際立っています。この提携の最初の成果として、洗濯機とトップフリーザー冷蔵庫が今月後半にヨーロッパでLGブランドとして発売される予定で、価格は約500ドルです。

さらにLGは、中国の生産能力を活用するだけでなく、低価格市場に対応するため自社のグローバル製造基盤への投資も進めています。同社は現在、ブラジル・パラナ州に4,000億ウォン規模の工場を建設中で、中低価格帯冷蔵庫の生産に特化しています。ブラジルで2拠点目となるこの新工場は、これまで価格競争力を損なっていた輸送コストや関税を削減し、ラテンアメリカの消費者向けにより現地化された低コストの家電供給を可能にしています。

こうした戦略の見直しは厳しい市場環境を背景としています。LGのHome Appliance & Air Solution(HA)部門は2021年以来、利益が50%以上減少している一方、中国メーカーは手頃で信頼性の高い家電を世界中で提供することで急速に拡大しています。たとえばMidea Groupは、中国国内のみならずヨーロッパ、東南アジア、ラテンアメリカ、アフリカでの販売好調により、営業利益が39%増加しました。LGのJDM戦略は、この動きに直接対応し、中国メーカーの価格帯に合わせつつ、プレミアムブランドとしての地位を守ることを狙っています。

LGは低価格家電展開の出発点としてヨーロッパを選びました。同地域の中低価格帯市場は現在、Hisense、Vestel、Bekoといった中国やトルコのブランドが主導しています。LGはこれまでヨーロッパではAI搭載の高級家電を重視してきたのですが、特に東欧や先進国の低所得層の間で、手頃で高品質な製品への需要が高まっており、LGにとって「コストパフォーマンスの高い製品」で再び存在感を示す好機となっています。

LGは共同開発製品に対してアフターサービスも提供し、ブランドへの信頼性を高める方針です。これは、すでにヨーロッパで大きな支持を得ているHisenseの400ドル冷蔵庫と競合する上で重要です。ヨーロッパでの展開が成功すれば、LGはJDMモデルを中国、東南アジア、南米、アフリカなどの市場にも拡大し、エアコンや乾燥機といった他の家電にも適用することを検討しています。

LGは低価格ラインを拡大する一方で、韓国や北米といった主要市場では依然としてプレミアム家電に注力しています。しかしこの分野でも、中国企業が高級カテゴリーに進出しており、かつてLGやSamsungが日本ブランドに挑んだのと同じ戦略—低価格から参入し、その後上位市場へ移行する手法—を用いています。Haier(Casarte)やMidea(Colmo)といったブランドは、世界のプレミアム家電市場の中心であるヨーロッパで急速に地歩を固めており、Mideaの高級ブランド売上は2025年第1四半期に55%増加しました。

中国家電メーカーの急成長は、技術革新、戦略的買収、グローバル展開によって支えられています。たとえばHaierは2016年にGE Appliancesを、2019年にイタリアのCandyを買収し、現在では米国家電市場の17%を占めています。Hisenseも同様に、中欧最大の家電メーカーであるGorenjeを買収することで存在感を拡大しました。中国の電子製品輸出は世界各地域で増加しており、LGの戦略は急速に変化する世界市場で競争力を維持するための守りと攻めの両面を反映しています。

https://www.pudaily.com/Home/NewsDetails/57328

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