TDI
三井化学TDIプラント稼働停止 アジア市況急騰へ
8月の中国TDI輸入価格(ICIS/LOW)、中国国内価格(ICIS/LOW)は、7月27日に発生した三井化学大牟田工場のガス漏洩の影響による稼働停止を受けて7月度に一度上昇した後は、上昇後の価格帯のまま推移している。三井化学の公式発表によると、TDIの供給について当面問題がないと発表されている。再開目途は9月1日現在でも不明である。
ASEAN価格(ICIS/LOW)も、中国国内価格の7月度の急騰を受けて、同じく上昇した値段で推移している。
北米では、トランプ政権と日本政府との間で、自動車に対する関税を15%に引き下げることが発表されたが、完全な合意には至ってない状況である。一方、日本国内では、米国への輸入比率が高い完成車メーカーの株価が上昇した。
EU圏では7月16日に発生したCovestroのドルマゲン工場のフォースマジュールの影響で市況価格が急騰した。稼働停止が長引けばEU全体のTDI市況価格が9月以降も上昇する可能性がある。日本の通関統計によると、全輸入量の内、中国からの輸入量の比率は7月は64%と他の月に比べて低い割合となった。
MDI
2025年8月、ピュアMDIは価格上昇
クルードMDI市況(ICIS/LOW)は、中国、東南アジア共に昨年後半以降価格は小刻みに上がったり下がったりの状況が続いた。4月に入り需要低迷・供給過多の状態が続き、中国では$1,650/MTまで落ち込んだ。中国MDIメーカーの定修や対米国関税率が引き下げられることにより供給が圧迫される状況が想定されたため5月には中国でUS$1,850/MTまで回復したが、8月はUS$1,750/MTまで価格が下落した。東南アジアでUS$1,700/MTと僅かに下落した。
一方、ピュアMDI市況については中国、北東アジア共に2024年12月末はUS$2,100/MTであった。2025年1~3月までは中国、北東アジア価格共に小刻みに動いていたが、4月には需要低迷・供給過多から中国、北東アジア共にUS$220/MT下落し、US$1,780/MTとなった。5月はクルードMDI同様中国、北東アジア共にUS$2,000/MTまで回復した。7月までは低調でUS$1,800/MTであったが、8月は中国でUS$1,930/MT、北東アジアでUS$1,900/MTまで回復した。
PPG
2025年8月の中国国内PPG価格は、少し持ち直したが、低位で推移しUS$885/MTとなった。
供給が豊富である一方、需要は停滞しており、価格は安定的に推移している。
中国産の工業用グレード(PGI)のオファーは前週からほぼ変化がなく、需要も引き続き控えめな状況である。医薬品グレード(USP)については、取引およびオファーともに依然として少ない状態が続いている。
中国国内のプラント平均稼働率は、前週の47%から49%に微増したが、季節的な需要の低迷により、全体としては抑制された状況である。
PO
2025年8月の中国国内PO価格は、CN¥7,625/MTとなった。
アジア地域におけるポリオールの輸入価格は、原料価格の上昇および供給の引き締まりを背景に、安定からやや強含みで推移している。
特に、プロピレンオキシド(PO)の価格上昇が、中国国内価格および地域の輸入オファーを支える要因となっている。季節的な要因により需要は若干増加傾向だが、買い手側は依然として慎重であり、供給と需要の基本的な構造に大きな変化は見られていない。