ウレタン系合成皮革

目次

ウレタン系合成皮革の概要

ウレタン系合成皮革の概要

 ウレタン系合成皮革は、織布、編布などの基材に、ポリウレタン樹脂溶液をコーティングして製造します。ウレタン系合成皮革は基材、接着層、表皮層で構成され、天然皮革に類似した弾性や柔軟性が得られ、軽量で光沢、防汚性、価格の面で優れますが、耐久性に劣る欠点があります。ウレタン系合成皮革は、ウレタン系人工皮革と比較して安価ですが物性面で劣る傾向がありますが、性能向上によりウレタン系人工皮革を採用していたユーザーがウレタン系合成皮革へ切り替えるケースがみられています。

光沢 防汚性 価格 耐久性
ウレタン系合成皮革
天然皮革
<ウレタン系合成皮革と天然皮革の比較>
耐久性 耐水性 通気性 価格
ウレタン系合成皮革
ウレタン系人工皮革
<ウレタン系合成皮革とウレタン系人工皮革の比較>

ウレタン系合成皮革の製造方法

ウレタン系合成皮革は乾式タイプと湿式タイプで製造されます。

乾式タイプの製造方法を下図に示します。乾式タイプで製造されたウレタン系合成皮革は、衣料、靴、鞄、自動車など多岐に使用されます。

<ウレタン系合成皮革 乾式の製造方法>

湿式タイプの製造方法を下図に示します。湿式タイプの製造プロセスは乾式タイプに比べて複雑でコストがかかりやすいのですが、柔らかい風合いの素材が得られるため要求にあわせ製品の性能を差別化しやすい特徴があります。湿式での製造方法の場合、樹脂配合液中の溶媒が水浴(凝固浴)を通るときに水中へ溶出すると同時に凝固液の浸透・拡散がおこり、湿式凝固がおきるので、ウレタン系合成皮革はマイクロポーラス層を有するのでしなやかで上質な風合いを持つ皮膜となります。湿式タイプは乾式タイプよりコストがかかるため高価格となることもあり、衣料、靴、鞄、インテリアなどハイグレードな用途に採用されています。

<ウレタン系合成皮革 湿式の製造方法>

ウレタン系合成皮革の材料構成

ウレタン系合成皮革は主剤にポリエステルポリオール(PEP)を使用し、硬化剤にジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を使用したものが主な組み合わせです。その他、主剤としてポリカプロラクトンポリオール(PCL)、ポリカーボネートジオール(PCD)ポリプロピレングルコール(PPG)ポリテトラメチレ ングリコール(PTMG)が使用されることがあります。硬化剤として、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が使用されることがあります。溶媒にはメチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(DMF)が使用されます。

ウレタン系合成皮革の市場

ウレタン系合成皮革の市場規模

ウレタン系合成皮革の世界での市場規模はは約500,000~600,000MTで、世界のGDPの増加率とほぼ同様のペースで拡大しています。拡大の大きな要因が中国、その他アジア地域での増加であり、中国、その他アジア地域での需要が9割を占めています。日本や欧米では横ばいが続くとみられています。中国をはじめとしたアジアでの販売内訳は、靴や衣料品、自動車の塩ビレザーからの代替とみられ、増加傾向にあるといえます。

ウレタン系合成皮革の主要参入企業

ウレタン系合成皮革の主要参入企業を以下に示します。ウレタン系合成皮革の生産は中国と東南アジアに集中し、生産能力の増加がみられています。日本や欧州メーカーは、国内向けにハイグレード品、輸出向けにローグレード品としていましたが、その生産拠点を中国や東南アジアに海外移転していることにより、この地域での生産増強傾向は続くとみられています。

企業名 ブランド 地域 製造方法
小松マテーレ ファブリック 日本 乾式・湿式
アキレス カブロン 日本 乾式・湿式
東洋クロス セシーナ 日本 乾式・湿式
共和レザー ルーミッシュ 日本
中国
乾式・湿式
第一化成 日本 乾式・湿式
セーレン ネオソフィール 日本
中国
メキシコ
安徽安利合成革
(Anhui Amway Synthetic leather)
中国
浙江禾欣実業集団
(Zhejiang Hexin Industry Holdings)
中国
<ウレタン系合成皮革の主要参入企業>

この表にある参入企業の他、DAEWON Chemical社、三芳化学工業、南亞塑膠工業、Majilite社が参入しています。

国内シェア1位の小松マテーレ、国内シェア2位の東洋クロスは、衣料向け自動車向けと幅広いラインナップを有しています。国内シェア3位の共和レザーはトヨタ車およびマツダ車向け自動車内装材用途で使用されています。その他、アキレス、第一化成は自動車向け海外市場の販売が大半です。

ウレタン系合成皮革用途別内訳

ウレタン系合成皮革の世界での市場規模は約500,000~600,000MTで、用途別の比率は下記の通りです。

業界 シェア
自動車 15~20%
衣料・家具 10~15%
靴・鞄 50%~60%
その他 残り
<ウレタン系合成皮革用途別シェア>

ウレタン系合成皮革の販売数量のうち、世界全体では靴用途が半数を超えています。これは新興国でのウレタン系合成皮革を使用した安価な靴の需要が存在しているからです。靴・鞄・衣料・家具について生産拠点は新興国にシフトしているため、今後も増加の見込みがあります。一方日本市場では自動車用途の販売数量が多く今後も増加が続く見通しがたっています。また一部高付加価値品の需要の見込みがあると考えられています。

ウレタン系合成皮革の技術動向

ウレタン系合成皮革の製造過程には乾式タイプ、湿式タイプがあり、湿式タイプの方が風合いが良い皮革が造れるため、乾式タイプでも湿式タイプと同様の風合いを実現することが課題となっています。また、製造プロセスで溶剤を使用しないものや、水を大量消費しない環境に対応したウレタン系合成皮革の開発の研究が望まれています。

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