ポリウレタン樹脂ディスパージョンは、あらゆる生産を支える重要な材料です。
本記事では、ポリウレタン樹脂ディスパージョンの概要や価格動向などについて、詳しく解説します。
ポリウレタン樹脂ディスパージョンは、ウレタン微粒子を水に分散させたものです。
接着剤やコーディングをはじめとして、インクバインダーや紙加工剤などさまざまな分野で応用されています。
PUD、あるいは「水系ポリウレタン樹脂」などと呼称されることも。
材料としての有用性、および脱溶剤ニーズが高まっていることから、近年は特に注視されています。
ポリウレタン樹脂ディスパージョンのメリット
ポリウレタン樹脂ディスパージョンのメリットとしては、さまざま存在します。
基本的には、防水性や密着性、可とう性や耐摩耗性に優れているのが特徴です。
ウレタン材のメリットをある程度引き継いだような性質だと言えます。 またグレードによっては、非黄変性や水蒸気透過性が付加されているケースもあります。
ポリオールと硬化剤について
ポリウレタン樹脂ディスパージョンの主剤と副剤は、(ポリオール)PEP×(硬化剤)HDIが主流です。
また、以下のような組み合わせが用いられるケースもあります。
(ポリオール)PEP×(硬化剤)TDI
(ポリオール)PCL×(硬化剤)IPDI
(ポリオール)PCD×(硬化剤)IPDI
(ポリオール)PPG×(硬化剤)IPDI
HDIを硬化剤にしている場合、反応性の観点から十分な硬度や反応性を得られないケースがあります。
その際には、IPDIなどが代替として使用される場合が多いようです。
それでも不十分であれば、コストはかかることは踏まえながらも、TMDIやXDIが使われることもあります。
ポリウレタン樹脂ディスパージョンの用途別の販売動向
続いて、日本と世界における用途別の販売動向について解説します。
日本市場におけるポリウレタン樹脂ディスパージョンは接着剤とコーティング・塗料目的で使われるケースが、全体の8割弱を占めています。
2018年度実績からは2019年段階でやや微増しており、今後も需要は強まると予測できるます。
日本におけるポリウレタン樹脂ディスパージョンの生産拠点は海外へ移行しつつあります。
しかし、日本国内のニーズが落ちていることを示すわけではありません。
生産拠点を海外へ移したことにより生産コストが低減された結果、ポリウレタン樹脂ディスパージョンが廉価になる可能性もあります。
世界での用途別販売動向も、基本的には日本と変わりがありません。
ただし、今後は発展途上国にポリウレタン樹脂ディスパージョンが普及されると予測されます。
となると、建築分野におけるコーティング剤や接着剤の用途割合が増加するでしょう。
より詳細な用途例
上記では、用途別の販売動向について、基本的な部分を解説しました。
続いて、もう少し詳細な用途について触れておきます。
種別 | 用途例 |
接着剤 | 木工用接着剤、塩ビ用接着剤、建築用接着剤など |
コーティング | 金属表面処理、OA機器、ノンクロメート鋼鉄など |
繊維 | ガラス繊維、顔料捺染糊、ウール防縮剤など |
その他 | 改質剤など |
あらゆる分野でポリウレタン樹脂ディスパージョンは必要とされていることがわかります。
やはりポリオールとイソシアネートの組み合わせが幅広く、汎用性は高いと言えます。
たとえば長期間利用するうえで外観が重要視される場合、非黄変グレードを使用するケースが多々あります。
また、透湿防水布などにおいては、水蒸気透過性のあるものが優先して使用されます。
市場規模推移について
ポリウレタン樹脂ディスパージョンの市場規模推移については、以下のようになっています。
上記のとおり、国内外問わず、市場は順調な拡大傾向を示していました。
予測は2022年までですが、今後も特別なイベントがなければ拡大傾向を継続すると考えられます。
拡大傾向になっている要因としては、脱溶剤の流れも関係しています。
接着剤やコーティング材に使われる水系材料として、ポリウレタン樹脂ディスパージョンが必要とされています。
特に脱溶剤へといち早くシフトし始めた欧州、北米については、この傾向が顕著です。
中国でも環境規制の煽りを受けた結果、ポリウレタン樹脂ディスパージョンに対するニーズが高まっています。
また、中国で絵は木工製品や自動車の加工について、ポリウレタン樹脂ディスパージョンの使用が広まりを見せるようになりました。
塗料では水系化割合が高く、中国国内でのニーズを形成しています。
まとめ
ポリウレタン樹脂ディスパージョンは、あらゆる産業や分野において重要な材料です。
脱溶剤のニーズやその有用性から、今後も重用される傾向が続きます。
市場としては、国内外問わず拡大途上です。
今のところポリウレタン樹脂ディスパージョンを優越する材料はなく、需要は高まる一方
幅広い分野で活用されている背景もあり、急激に縮小するようなこともないだろう。
一方で、需要過多である点もあります。
副剤であるHDIの供給が不足しているなどの背景があり、これは将来的な価格上昇を示唆していると言えるでしょう。