市況レポート12月報

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TDI

11月の中国TDI価格(ICIS/LOW)はUS$2,350/MT付近を付けた。ASEAN(ICIS/LOWも$2,400/MT付近と、引き続き価格が上昇している。世界的にTDI需要は芳しくないが、中国での電力制限、石炭不足に伴う工場稼働率の低下を受け、供給のバランスが崩れ価格は下がってきてはいない。欧州では、冬季の需要増と定修予定があることからタイト感が増しており、また、月末にCovestro社(独)のプラントトラブルもあったようで、価格が上昇している。

 三井化学SKCポリウレタン株式会社は、10月よりTDI類を20円~/kg値上げを打ち出しており、海外玉の積極的な攻勢と国内価格の値差から輸入玉が増加する見込みである。

 日本の通関統計によると、10月度に中国から計1,253MT程のTDI輸入が確認された。中国からの輸入量が約95%以上を占める。

MDI 

MDI市況は、7月に入りCOVESTROのドイツ(40万トン/年、Brunsbuttel)で製造装置のトラブルによりフォースマジュール宣言が行われたことや、万華化学(110万トン/年、Yuntai)で7/10から約1ヶ月の定修に入ったこともあり、北米寒波影響によるMDI設備停止の継続と併せて、需給バランスのタイト感が増し、中国、ASEAN共に$2,600/MT程度まで価格が上昇した。

 8月に入り、8/10に万華化学の定修が終了したこと、需要があまり芳しくなかったこともあり需給バランスが徐々に安定したため、中国で$2,300/MT、ASEANで$2,450/MTまで価格が緩やかに下落した。8月中旬以降、BorsodChemの定修等もあり、9月に入ると、中国で$2,600/MT、ASEANで$2,500/MTまで価格は再び緩やかに上昇した。

 10月も世界的にタイトな状況は続き、中国で$2,750/MT、ASEANで$2,800/MTまで上昇したが、需要は弱含みな状況であり、11月には中国で$2,450/MT、ASEANで$2,650/MTと緩やかに下落した。12月以降、万華化学寧波工場にて2ラインの定修が相次いで行われるため、需要が弱含みでも需給バランスが緩むことは考えにくく再び上昇傾向になる可能性もある。

PO 

2021年11月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥13,300/MTとなった。9月中旬から続いていた電力使用量の制限も緩和され、POプラントの稼働率も好調を維持し、さらに船不足による輸出量減少も重なり需給バンスが崩れ、10月と比べるとCN¥3,800/MT下落した。PO原料の塩素の市況が上昇しているが、船不足や東南アジアを中心にCOVID-19の影響でロックダウンになると更なる需要減となり、価格は横ばいに推移することが予想される。

PPG 

2021年11月の中国国内PPG価格は、最終的にはUS$2,100/MTとなった。PO価格下落に伴いPPG価格もつられる形で価格は下落、また、COVID-19の影響でバイヤーの買い控えも発生し市況は下落した。今後需要期に差し掛かりつつあるが、東南アジアでのロックダウンや年末に差し掛かるので更なる需要減の可能性も考えられる。よってPPG価格は横ばいに推移する可能性が高いと予想される。

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