TDI
3月の中国TDI価格(ICIS/LOW)の取引は限定的で、$2,500/MT付近で前月と変わらず推移した。中国国内価格は、3月中旬にはCN¥17,300まで下落したものの、その後、月末にかけて在庫水準がタイトになった事から、最終的にはCN¥17,800付近に落ち着いた。ASEAN価格(ICIS/LOW)については、需要の低下により、価格が下落傾向にて推移した。
北米では、今後の景気の後退が予測される中、TDIの需要レベルは高くない状況が続いているが、各サプライヤーの稼働も十分ではなく、前月同価格帯にて推移した。欧州は、エネルギーコストの緩和が見られ、また需要の停滞状況が続いていることから、価格はUS$150/MT程度の幅で下落した。日本の通関統計によると、2月度の中国からのTDI輸入量は、計693MTと前月より増加した。全輸入量の内、中国からの輸入量が96%を占めた。国内サプライヤーが、相次いで値上げを実施している中で、海外メーカーにとって、日本向けは価格面で魅力的ではない状況は続いており、輸入される数量は今後も限定的と推定される。
MDI
MDI市況は昨年末にはクルードMDIの価格が中国、東南アジア共にUS$1,650/MTのレベルであった。中国では1月に入ると春節前の玉確保も重なり、価格はUS$1,750/MTまで上昇した。また、ピュアMDIに関しても中国、北東アジアで需要が回復し、11月以降下落していた価格が、中国ではUS$2,100/MT、北東アジアではUS$2,000/MTまで上昇した。春節後2月に入ると中国、ASEAN共に需要が若干回復し、また万華化学の寧波工場の第二期製造装置(80万トン/年)が2月13日より30日前後の定修に入ったことで需給バランスがタイト基調となり、1月に引き続きMDI価格は上昇し、クルードMDI価格は中国でUS$1,900/MT、東南アジアでUS$1,850/MTまで上昇した。またピュアMDI価格は中国でUS$2,250/MT、北東アジアでUS$2,150/MTまで上昇した。3月に入っても前半は需給バランスがタイトな状況が続き、中国、ASEAN共に2月後半と同程度の価格レベルで推移したが、後半は若干需給バランスの改善もあり中国のクルードMDI価格は若干の下落となった。
PO
2023年3月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥10,300/MTとなった。3月中旬には、POメーカーの意図的なプラント低稼働、定修、新規プラントの立ち上げが遅れた理由により、一時的に中国国内価格はCN¥11,300/MTまで高騰した。ただし、需要が低迷しているため市況は徐々に下落した。供給は引き続き逼迫している状況は変わらないので、市況は横ばい、もしくは、東南アジアで需要が回復すれば市況は上昇することが予想される。
PPG
2023年3月の中国国内PPG価格は、US$1,330/MTとなった。中国国内向け需要はあまり芳しくなく、東南アジア向けも同様に需要が回復していない。ただし、PO市況が上昇したことにより、PPG価格も上昇した。今後、PO価格が上昇することが予想されているので、引き続き中国・東南アジアでウレタン需要が回復しなくてもPPG価格は上昇することが予想される。