TDI
11月の中国TDI価格(ICIS/LOW)は、需要が旺盛で無い状況が続いている中で、10月から開始していた、アジアの各サプライヤーの定修が完了した事で供給が緩み、11月末にかけて前月末比で$200/MT下落した。中国国内価格(ICIS/LOW)においても、月末にかけCN¥16,700/MT付近となり、前月末比でCN¥900/MT下落した。
ASEAN価格(ICIS/LOW)も、需要自体は旺盛ではない状況が継続する中で、上述のサプライヤー稼働回復の影響もあり、11月末時点で前月比▲$100/MT下落した。
北米においても、需要低迷が継続している中で、市況は若干下落した。欧州は、引き続き需要の停滞状況が続いているものの、市況は若干上昇には転じている。
日本の通関統計によると、10月度の中国からのTDI輸入量は計1,237MTと前月比で237MT程度減少した。全輸入量の内、中国からの輸入量が86%を占めている。国内サプライヤーの価格が高価格帯で推移しているものの、海外メーカーにとって日本向けは価格面で魅力的ではない状況は続いており、輸入される数量は今後も限定的と推定される。
MDI
MDI市況は、10月に入ると国慶節以降クルードMDI、ピュアMDIの需要は共に弱含みに推移し、クルードMDIは中国でUS$1,700/MT、ASEANでUS$1,750/MTまで下落、ピュアMDIも中国でUS$2,250/MT、北東アジアでUS$2,250/MTまで下落した。
11月に入ると、中国で中旬以降、Covestro(60万トン/年)、Shanghai Lianheng Isocyanates(35
万トン/年、24万トン/年)、Wanhua Chemical(40万トン/年)が相次いで定修に入り、供給がタイトな状況になったが、中国国内での重要はあまり芳しくなく、クルードMDI価格はUS$1,750/MT、ピュアMDIはUS$2,350/MT、と10月よりわずかな上昇にとどまった。
また、東南アジアではクルードMDIの需要が改善されたが、価格はUS$1,750/MTと10月と変わらなかった。北東アジアではピュアMDIの需要がいくらか持ち直したが、価格はUS$2,300/MTと10月よりわずかな上昇にとどまった。
PO
2023年11月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥9,250/MTとなった。5月初旬に、中国POメーカーの一時的なプラント閉鎖により、中国国内価格はスポットで上昇したが、特に川下需要が低迷しているため、市況は徐々に下落した。供給面では、潤沢に玉が余っているわけではないが、需要が回復しておらず、12月も横ばいに推移することが予想される。
PPG
2023年11月の中国国内PPG価格は、US$1,060/MTとなった。引き続き中国国内向け需要はあまり芳しくなく、東南アジア向けも同様に需要が回復していない。PO市況は4月にスポットで上昇したが、川下需要の低迷から、PPG市況は横ばいに推移した。PO価格が高騰することは考えにくく、引き続き中国・東南アジアでウレタン需要が回復しなければ、PPG価格も横ばい、もしくは徐々に下落することが予想される。