硬質ウレタンフォームの用途【非住宅用・冷蔵庫断熱材】

目次

非住宅用

用途

断熱材としての硬質ウレタンフォームは住宅だけでなく、商業施設・工場などの非住宅分野でも用いられています。住宅と同様に壁・天井・床下などに施工され、例えば10階建てのオフィスビルの場合、1棟あたり2500kg前後の硬質フォームが採用されます。特に鉄筋コンクリート(RC)は熱伝導率が高いため、RC造の物件は断熱材が欠かせません。硬質フォームは吹き付ける原液タイプとボードタイプの両方があり、住宅向けは8割が原液タイプですが、非住宅建築でも原液タイプが主流で9割を占めます。

製品例

原液タイプに注目するとメーカー各社は木造住宅向けと一般建築物向けの製品を分けているようです。密着性硬質フォームでシェアトップの日本アクアは防火性に優れた「アクアモエン」を提供しており、日本パフテムはノンフロンタイプの「パフピュアーエース(Pufpure A)」を提供しています。非住宅向けは住宅より1件当たり使用量が大きいため、防火性や環境対策がより求められるようです。

市場状況

建築物 2018年 2020年(予測) 2025年(予測)
オフィス 7,900 7,250 5,920
店舗 6,150 5,370 3,900
倉庫 7,990 7,500 5,010
工場 3,600 3,320 2,650
医療機関 1,320 1,200 850
着工件数(当サイト推定値)
分類 断熱材 2018年 2020年 2025年
フォーム系 硬質ウレタンフォーム 140.0 145.0 153.5
フェノールフォーム 21.1 23.0 23.1
押出法スチレンフォーム 143.0 151.7 132.0
ビーズ法スチレンフォーム 37.5 38.7 36.2
繊維系 グラスウール 157.0 160.0 158.7
セルロースファイバー 6.1 6.1 7.0
ロックウール 200.5 221.0 235.0
断熱材売上高(億円、当サイト推定値)

2018年度の実績では硬質ウレタンフォームの用途先として非住宅向けが2割程度と、住宅向けが2倍以上多く使用されています。非住宅建築の着工件数に注目してみましょう。今後は建築物の種類に関係なく全ての分野で減少が続く見込みです。人口減少に加え、倉庫ではECの拡大と共に集約化が進むほか、医療機関でも施設の統廃合によって減少していくようです。しかしこうした状況でも硬質フォームの需要は伸びる見込みです。住宅と同様に省エネ化が求められているため、1軒当たりの断熱材使用量が増えることが要因です。特にRC造では繊維系よりも硬質フォームとの相性が良いとされています。非住宅建築において従来は断熱材よりも空調や電気機器の改良による省エネ化が進められてきましたが、今後は断熱材からのアプローチがなされる見込みです。

冷蔵庫断熱材

用途

注型のイメージ

冷蔵庫向けの断熱材は硬質フォームと真空断熱材に2分されますが、家庭用冷蔵庫ではどちらか一方だけが使われるのではなく、ほとんどの場合併用して用いられます。業務用では硬質フォームが主流です。また、家庭用・業務用問わず冷蔵庫1台あたりの硬質フォーム使用量は6kg前後で、家庭用冷蔵庫の場合、全体重量の10%弱が硬質フォームによるものです。冷蔵庫周囲の背面、側面に使われるほか、扉のなかにも含まれます。使用する際は冷蔵庫の形状に組み立ててから隙間に注入する方法が採られます。

製品例

真空断熱材は冷蔵庫メーカーによる自製がほとんどですが、硬質フォームはメーカーからの供給に頼っています。硬質フォームの生産量でシェア上位の企業は建築向けに特化しているため冷蔵庫向けを生産しておらず、日清紡ケミカルが「エアライトフォーム」として供給するほか、倉敷紡績も供給しています。

冷蔵庫 2018年 2020年(予測) 2025年(予測)
家庭用 190 149 149
業務用 56 58 52
生産台数:万台(当サイト推定値)
断熱材 2018年 2020年(予測) 2025年(予測)
硬質ウレタンフォーム 89.0 86.1 83.0
真空断熱材 79.3 75.0 71.8
生産額:億円(当サイト推定値)

家庭用冷蔵庫の生産台数は人口減少によって需要減少が進んでいるほか、電機メーカー各社が低コスト化を目的に生産拠点をアジア各国に移転しているため国内生産は減少に転じています。業務用に関しては、インバウンドの増加によるレストラン需要の増加によって、2020年の生産台数が18年を上回る見込みでしたが、コロナで未知数となっています。いずれにせよ長期では人口減少の影響を避けられず減少に転じるでしょう。こうした背景から冷蔵庫向け硬質フォームの生産量も減少が続くとみられています

まとめ

非住宅建築でも硬質フォームは住宅と同様に原液タイプが主流となっており、現場で吹き付ける方式が採られています。着工件数は減少し続けていますが、省エネ需要によってしばらくは増加が続く見込みです。一方の冷蔵庫向け用途は冷蔵庫自体の生産台数が減少に転じており、これに伴って硬質フォーム需要も減り続ける見込みです。

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