ワッカー・ケミー社とミュンヘン工科大学(TUM)は、TUM WACKER Institute for Industrial Biotechnologyの設立により、そのパートナーシップを深化させました。この新しい研究所の目的は、ドイツにおける産業用バイオテクノロジー分野の研究を国際的に高い水準でさらに発展させることです。両者は、持続可能な経済システムの基礎となる再生可能資源から特殊化学品や有効成分を製造するための新しいアプローチの研究に力を注ぎます。ワッカー・ケミー社は、契約上合意された6年間で、600万ユーロを超える研究資金を研究所に提供します。バイオテクノロジーによって生産される高分子および低分子生体分子の分離のための新しい生体機能材料とプロセス開発の分野で著名な専門家であるソニア・ベレンスマイヤー教授が率いることになります。今後6年間で、20名の博士号取得者がこの研究所で研究活動を行う予定です。新研究所は、2022年/2023年の冬学期から活動を開始する予定です。
両社は、長年にわたり様々な分野で協力し、科学研究と産業界との間の知識移転を積極的に推進してきました。この産業バイオテクノロジー研究所の設立により、特に有望な分野に共同で焦点をあてることができると考えられています。
ワッカー・ケミー社は、工業用バイオテクノロジーに焦点をあて、化石原料に基づくプロセスを代替し、エネルギーと原料の消費量を削減し、生産コストを下げ、資源を節約し、環境を保護することができるよう研究を進める予定です。
一方ミュンヘン工科大学は、産業バイオテクノロジーに焦点をあて、持続可能な経済システムという目標を達成するため、分子レベルの研究から化学工学、プロセス工学に至るまで、各分野を互いに結びつけていく研究を進める予定です。
産業バイオテクノロジーとは、最適化された酵素、細胞、微生物を用いて、バイオテクノロジーにより特殊化学品や有効成分を生産する技術です。主な原料は再生可能なものです。産業用バイオテクノロジーは、食品、健康、化粧品、繊維など、さまざまな産業分野で応用されています。例えば、炭水化物やタンパク質を改良した医薬品の有効成分や栄養補助食品などです。癌などの病気の治療などに使われる核酸の生産に重点を置いた研究を行います。さらに、低分子化合物の生産と新しいプロセスコンセプトの開発を研究分野とします。新研究所は、WACKER社の開発部門と密接に連携する予定です。また、定期的にシンポジウムを開催する予定です。