TDI
8月の中国TDI価格(ICIS/LOW)は、成約自体はあまり多くは無い状況が続いているものの、$2,150/MTと前月から$100/MT上昇した。中国国内価格(ICIS/LOW)においても、需要家の購入が旺盛ではない状況が続いているが、国内サプライヤーの供給がタイトになっている為、月末にかけて、CN¥18,400/MT付近へ上昇した。
ASEAN価格(ICIS/LOW)については、こちらも需要自体は旺盛でない状況は継続しているが、中国サプライヤーの供給がタイトになっている影響により、市況は上昇に転じた。北米においても、景気後退の懸念が続く中、需要低迷が継続しており、市況は前月同価格にて推移した。欧州も、引き続き需要の停滞状況が続いており価格は前月に引き続き下落した。また中国のTDIがタイトになり価格が上昇したことから、欧州の輸入量は減少した。
日本の通関統計によると、7月度の中国からのTDI輸入量は計1,334MTと前月比で若干増加した。全輸入量の内、中国からの輸入量が86%を占めた。国内サプライヤーの価格が高価格帯で推移しているものの、海外メーカーにとって日本向けは価格面で魅力的ではない状況は続いており、輸入される数量は今後も限定的と推定される。
MDI
MDI市況は4月以降、中国、ASEAN共に需要は弱含みで推移し、6月に入ると中国にてコベストロ上海で6/11から(60万トン/年)、上海連恒イソシアネート有限公司で同様に6/11から定修に入り(35万トン/年、24万トン/年)、供給量が制限されたが、需要の弱含み状況が続き、需給バランスはタイトとはならなかった。
7月に入っても、供給量の制限は継続されたが、需要も依然弱含みで推移し、クルードMDIの価格は、中国、ASEAN共にUS$1,800/MTで、6月と同レベルであった。また、ピュアMDIの価格は、中国でUS$2,100/MT、ASEANでUS$2,000/MTとなり、共に6月よりUS$50/MT下落した。ところが8月に入ると、中国、ASEAN共に需要が回復し、特に中国ではピュアMDIの需要増加が目立ち、クルードMDIの価格は中国でUS$1,900/MT、ASEANでUS$1,850/MTまで上昇した。また、ピュアMDIの価格は中国でUS$2,400/MTまで大幅に上昇、ASEANでUS$2,200/MTまで上昇した。
PO
2023年8月の中国国内PO価格は、最終的にCN¥9,350/MTとなった。5月初旬に、中国POメーカーの一時的なプラント閉鎖により、中国国内価格はスポットで上昇したが、特に川下需要が低迷しているため、市況は徐々に下落した。供給面では、潤沢に玉が余っているわけではないが、需要が回復しておらず、9月も横ばいに推移することが予想される。
PPG
2023年8月の中国国内PPG価格は、US$1,170/MTとなった。引き続き中国国内向け需要はあまり芳しくなく、東南アジア向けも同様に需要が回復していない。PO市況は4月にスポットで上昇したが、川下需要の低迷から、PPG市況は横ばいに推移した。PO価格が高騰することは考えにくく、引き続き中国・東南アジアでウレタン需要が回復しなければ、PPG価格も横ばい、もしくは徐々に下落することが予想される。