韓国のHyosung TNCは、韓国の産業大手であるHyosungグループの繊維生産部門で、このたびベトナムのバリア・ブンタウ省に複数のバイオテキスタイル材料工場を建設するために10億ドルを投資します。第一弾として、2026年の生産開始を目指し、年間5万トンのバイオ由来ブタノジオール(バイオBDO)生産工場を建設します。
BDOはポリエチレングリコール(PTMG)の原料となる化学物質で、スパンデックス繊維の製造に使用されます。バイオBDOは、サトウキビ由来の糖を発酵させて生産され、従来の石炭などの化石原料に代わるものです。BDOの用途はスパンデックス繊維以外にも、エンジニアリングプラスチック、生分解性包装材、靴底などがあります。
Hyosung TNCは、南部のバーリア・ブンタウ省にある工場でバイオBDOを生産し、ホーチミンシティの南にあるドンナイにある近くの工場でPTMGを製造した後、ドンナイ・スパンデックス工場で自社のリジェン・バイオ・スパンデックスを大量生産する予定です。
同社は2024年4月2日の声明の中で、最終的にはベトナムにおけるバイオBDOの総生産能力を年間20万トンにまで引き上げることを目指しており、原料から繊維に至るまでバイオ由来スパンデックスの一貫生産体制を構築すると表明しています。
Hyosung TNCによると、2024年現在の世界のサステナブル繊維・ファッション市場は、年間平均成長率が12.5%を超え、約230億ドルと評価されています。これは2030年までにサプライチェーンの上流・下流事業を含めて約750億ドルに成長すると見込まれています。Hyosung TNCは、現在全スパンデックス販売の4%を占めるサステナブル・スパンデックスの販売量を、2030年までに20%程度に増やすことを計画しています。
同社の今後のバイオBDO工場は、米国を拠点とするサステナブル素材企業Genoの技術を採用する予定です。